茶碗 (Chawan)

茶碗(ちゃわん)とは、元々は磁器で作られた喫茶のための食器。
喫茶の普及と共に「茶碗」という言葉も広まり、喫茶用途以外の磁器も指す磁器の代名詞として使われた。
江戸時代には、素焼の土器や木椀に代わって磁器の食器が使われるようになり、「飯茶碗(蓋付碗)」、「煎茶碗」などの言葉も生まれた。
現代日本では通常、「お茶碗」と言った場合、飯茶碗を指す。

概要
茶碗は、その名のとおり茶を飲むための器であり、湯呑み(ゆのみ)や湯呑茶碗(ゆのみちゃわん)とも呼ばれる。
茶器の一つとして中国か朝鮮で生まれて、奈良時代から平安時代をかけて茶と一緒に日本に伝来したと考えられている。

日本ではご飯をよそうための椀を特に ご飯茶碗(ごはんちゃわん) や 茶碗(ちゃわん)、飯碗と呼ぶ。

日本の家庭での茶碗は湯呑茶碗でもご飯茶碗でも、箸と同様に属人器である。
古来から多くの家庭で、各人専用の湯呑茶碗とご飯茶碗が定められている。

ヨーロッパでは、茶碗に相当するものはカップと呼ばれるものである。
東アジアから喫茶の習慣が伝わった当初は、把手のないカップが主流であったが、次第に把手付きのものが増え、やがてこれが普通となった。
英語では把手のないものを tea bowl, 把手のあるものをTeacupと呼び分ける。
Cupはその後更にビュートシェイプ、ピオニーシェイプ、ロンドンシェイプなど様々な形(シェイプ)の変化を生じた。
またコーヒー用のカップはコーヒーカップと呼ばれるが、紅茶、コーヒー兼用の形もある。
ヨーロッパでは茶托に当るものはカップソーサーと呼ばれ、カップと同様の材質、デザインで作られ、カップとセットになっているのが普通。
材質は磁器、または炻器製が圧倒的に多い。
また米飯用の食器はrice bowlと呼ばれる。

茶道具としての茶碗

日本の茶道では、季節や趣向に応じて様々な茶碗を用いる。
愛好者の間では『一楽、二萩、三唐津』などと言われることもあり、それらは産地や由来、その色形の特徴によって、主に以下のように分類される。

唐物

天目茶碗

青磁茶碗(酸化還元によって発色を決め、辰砂の銅で赤くしたものもある。)

白磁茶碗

高麗茶碗

高麗茶碗、井戸茶碗、三島茶碗(文様を押し当ててガラにしたもの)

和物

楽焼(楽茶碗)黒、赤、白色

萩焼

唐津焼

志野茶碗、織部茶碗、瀬戸黒茶碗、黄瀬戸茶碗、伯庵茶碗

青磁器は硬く、逆に楽焼きは軟陶とよばれる。

茶碗の形状は、碗形のものが多いが、筒形や平形、輪形(玉形)、半筒、端反、沓形などがある。
また、天目形、井戸形のように茶碗の特徴が形状名になっているものもある。
形状から筒茶碗(つつちゃわん)、平茶碗(ひらちゃわん)等と呼ばれる茶碗もある。
飲み口が狭く茶が冷めにくい筒茶碗は主に冬向き。
逆に広く冷めやすい平茶碗は夏向きと使われる。
楽や高麗井戸は格が高いと言われ、濃茶に使われることが多い。
茶に合わせて作られた、煎茶碗、抹茶碗と呼ばれる茶碗もある。
芸術品、工芸品として取引され、作家名の押し印されたものも多く、個々の茶碗に銘(名前)が付けられたものもある。

種類

磁器は割れやすい材質なので、現代では食堂など業務用にプラスチック製の茶碗も作られている。

[English Translation]