貝児 (Kaichigo)
貝児(かいちご)は、鳥山石燕の妖怪画集『百器徒然袋』にある日本の妖怪。
貝桶(かいおけ)の付喪神。
概要
貝桶とは、日本の中世から江戸時代にかけて伝わる遊戯の貝合わせや貝覆いに用いる貝殻の入れ物である。
画図では貝桶から子供のような姿の者が這い出る姿が描かれている。
解説文には「この貝児は這子の兄弟にやと、おぼつかなく夢心に思ひぬ」とある。
這子とは幼児のお守りに使われた四つんばい姿の幼児の人形のことで、石燕は貝児をその這子の兄弟かとしている。
現代では、いくつかの解釈がある。
そのうちの一つは、遊びに飽きて使われることのなくなった貝が妖怪化した、というものである。
もしくは、母親から娘へ贈られる歳月を経た嫁入り道具の貝桶から生まれたのものと解釈されている。
かつて貝桶は嫁入り道具の一つとして珍重されており、古来の嫁入り道具は親から子へと受け継がれ、数百年も伝わっているものも珍しくなかったことからこの解釈がなされている。
この貝児が出現したという明確な伝承は残されていないため、石燕の創作物とする説もある。