退位 (Abdication of the throne)
退位(たいい)とは、天皇や国王といった世襲の君主がその地位を退く事。
また、革命などによって君主制が廃止されない限りは、自動的に継承者に譲り渡す事になる。
退位に伴う君主の地位の変動を「譲位(じょうい)」・「遜位(そんい)」という。
日本
日本では皇極天皇が弟の孝徳天皇に皇位を譲った例を最古とし、89例(※)の退位が存在する(なお、後小松天皇は南北朝合一によって2度譲位を受けている)。
退位した天皇は太上天皇(上皇)と呼ばれる。
※…北朝_(日本)3例を含む一方で事実上の廃位である淳仁天皇・仲恭天皇、北朝の光厳天皇・崇光天皇の4例は省く。
平安時代以後の慣例として、退位する天皇が譲位の宣命を宣布する儀式とその後に行われる継承者(新帝)への剣璽を引き渡す儀式(剣璽渡御の儀)の2つを中心として儀式体系が組まれてきた。
明治時代に制定された皇室典範において皇位継承は天皇の崩御(死亡)を前提としているため、現行法では生前退位は出来ないと解釈されている(明治の皇室典範制定時に皇位継承を崩御時に限定したのは、天皇と政府が対立した時に天皇が退位をもって政府を圧迫するのを防ぐ意図もあったとされている。また、第二次世界大戦後に昭和天皇が退位を検討したとも言われているが、内外の反対で立ち消えとなった)。
これについて、先例の存在や天皇の自由意思を尊重するべきであることを理由として生前の退位を容認すべきとの意見もあるが、退位後の天皇の処遇(財政的、政治的位置付けの問題。特に後者は院政の問題)や皇位継承の複雑化及び後継者の不足による皇統断絶の可能性などの点から反対の意見が強い。
イギリス
ウィンザー朝の国王で退位したのはエドワード8世 (イギリス王)のみである。
1936年、離婚経験がある女性と結婚するために即位後1年を待たず退位した。
王冠を捨てた恋として有名である。
退位後の処遇
退位が比較的平穏裡に行われた場合、退位した元君主やその親族は、旧来と同等の礼遇を以て接することが約されることが多い。
韓国併合ニ関スル条約(1910年) 韓国皇帝及び韓国皇族に相当な尊称、威厳及び名誉を享有させること等が約され、s前韓國皇帝ヲ册シテ王ト爲シ皇太子及將來ノ世嗣、太皇帝及各其儷匹ノ稱呼ヲ定メ竝ニ禮遇ノ件により、前韓国皇帝に対して「王」の身分が与えられる等した(王公族制度)。
皇族を除く貴族制度を否定した日本国憲法施行により1947年に身位喪失。
清室優待条件(1912年) 「大清皇帝」の尊号を受け、外国君主と同等の待遇を受けることとなった。
後に反故にされた。
エドワード8世 (イギリス王)の退位(1936年) 「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国ならびに海外自治領の国王、インド皇帝」を自発的に退位した。
退位後は、エドワード8世 (イギリス王)の爵位を受けた。