野焼き (Noyaki (open burning))
野焼き(のやき)は、野山の植生を焼くことである。
主に半人工の植生を維持するためになされるが、半永久的に農地として供するためになされることもある。
日本の野焼き
日本では、春先のまだ草本の新芽が出ない時期に、野山の枯れ草を焼く。
山焼きとも言う。
日本の自然の状態では酷寒地を除き、草原は森林へと遷移 (生物学)する。
野焼きを行うことで、この遷移が止まり、草地のままに維持される。
また、有機物の蓄積を減らし、無機塩類とすることで新たに出る若草のための肥料とする効果があるかもしれない。
また、害虫を焼き殺す効果もあるものと考えられてきた。
古くから、日本人は、野山を草地として継続的に利用するために、野焼きを行ってきた。
有名な場所
奈良市・若草山の山焼き
阿蘇山の野焼き
渡良瀬遊水地のヨシ焼き
大室山 (静岡県)の山焼き
秋吉台の山焼き
房総の野焼き
仙石原の山焼き
法律上の規制
森林法により、森林等の野焼き(法律用語では「火入れ」)を行う場合はその所在地の市町村長の許可を得なければならない。
また、平成13年施行の廃棄物の処理及び清掃に関する法律およびそれに基づく「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」により、風俗慣習上又は宗教上の行事を行うために必要な廃棄物の焼却や、農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却など以外は禁止されている。
同法により違反した者は五年以下の懲役若しくは一千万円以下の罰金又はその両方を科せられる。
事故
1977年3月25日、福岡県北九州市小倉南区平尾台での野焼きで、強風による飛び火で山林火災が発生し、207ヘクタールの山林・原野を焼損、消火作業中の消防士5人が死亡した。
2009年3月17日、大分県由布市湯布院町の原野で行われた野焼きで、参加者4人が焼死し2人が重軽傷を負う事故が発生した。
当日は注意報が発令されており、市条例で火入れが禁止される状況であったが、市も消防署も慣例により条例違反を黙認していた。
目撃証言によれば、現場では火災旋風とみられる現象が発生していたという。
世界各国の野焼き
熱帯諸国では、熱帯林を野焼きすることによる焼畑農業が広くおこなわれている。
先住民により小規模に長年おこなわれてきたものは、短期間の利用の後に放棄され、森林として再生される。
この点で、日本の野焼きのように再生可能である。
しかし、近代的な野焼きは半永久的に農地に供するためになされている。
再生不可能で、自然保護や二酸化炭素排出から問題視されている。