鍔迫り合い (Tsubazeriai)
鍔迫り合い(つばぜりあい)とは、互いに相手の打った刀を自分の刀の鍔で受け止め、押し合うこと、転じて激しい試合のこともさす。
剣道における鍔迫り合い
剣道において鍔迫り合いは、打ち合わせた竹刀を刀同様鍔で受け止め、押し合う状態で、引き技はこの状態から打つ。
打突意思のないときは反則がとられる。
膠着すると「別れ」といって、分けられることがある。
歴史
千葉周作に『北辰一刀流組遣様口伝書』がある。
この文献その他において、元来「一刀流」における即位付(そくいづけ。馬庭念流、鹿島神流、無外流などでは続飯付(そくひづけ)という。なお、続飯とは炊いた飯を練ったのりのこと。)、下段付、とあったのが「鍔迫り合い」に置き換わっている。
これを剣道が引き継いだものである。
「脇構え付け(中略)故咽突込む(註 敵太刀を挙げて突をさける故鍔ぜりとなる)。
(中略)突を受け小手を挙るゆへ、鍔迫となる処を上よりくじく、右小手うたせ。」
-- 『北辰一刀流組遣様口伝書』
「手元胴 双方鍔ぜりあいになりたる時、向うの透きを見て立ちながら胴を打つをいう。」
-- 『剣法秘訣』
なお強調は引用者
試合規定の変遷
警視廰劍道審判規定案(大正15年)第6條 審判員ハ左ノ各項ニ準墟シ審判ヲナスヘシ。
(中略)5、間合接近シテ鍔糶合トナリタルトキ太刀ヲ互ニ肩ニ掛ケ離レ際ニ撃突シ又ハ無理ニ倒スモ之ヲ採ラス。
警視廰劍道審判規定(昭和8年(1933年)、昭和9年(1934年)改定)第8條 試合中左ノ事項ヲ禁止ス。
(中略)5、鍔迫合ノトキ太刀ヲ對手ノ肩ニ掛ケルコト。
皇紀2600年奉祝昭和天覧試合剣道試合審判規定(昭和15年6月18日~20日)第9條(中略)44、間合接近シテ鍔糶合トナリタルトキ太刀ヲ互ニ肩ニ掛ケ離レ際ニ撃突シ又ハ不正ニ倒シテ撃突スルモ勝ト認メス。
但シ離レ際ト雖敵ノ太刀觸レ居ラサルトキハ勝トス。
學徒劍道試合規定(昭和18年(1943年)(中略)5、審判の要領トシテ左記各項ニ特ニ留意スベシ。
(中略)(6)鍔糶合ニ於テハ速ニ斬突背シムベシ。
遅滞シタル場合ノ斬突ハ有効ナルモノト雖勝ト認メズ。
「註」故意ニ接近シテ防禦的態勢ニ出ズル事ハ之ヲ認メズ。
撓競技法(昭和25年(1950年)3月)(中略)3審判(中略)(ロ)審判法(中略)(5)鍔競合5秒以内に及ぶ場合は試合を中止させ、出發線まで戻して再び開始させる。