当子内親王 (Imperial Princess Toshi)
当子内親王（とうし（まさこ） ないしんのう、長保3年（1001年） - 治安 (元号)2年 9月12日 (旧暦)（1022年10月10日）は、日本の第67代三条天皇の第一皇女。
母は藤原済時の女・皇后藤原せい子。
斎宮。
同母兄弟に敦明親王、性信入道親王など。
寛弘8年（1011年）父三条天皇即位、内親王宣下。
長和元年（1012年）斎宮卜定。
同2年（1013年）8月初斎院、同年9月野宮に入る。
同3年（1014年）、伊勢国下向。
同5年（1016年）1月、三条天皇譲位により退下、同年9月帰京。
寛仁元年（1017年）出家。
治安3年（1023年）死去。
享年22。
当子内親王が斎宮に卜定されて伊勢下向の儀式「別れの御櫛」に臨んだ際、天皇も斎宮も互いに振り返ってはならない決まりであったのを、父三条天皇は別れがたさに思わず振り返らせてしまったという（『大鏡』）。
それほど鍾愛の皇女であったが、伊勢から帰京した長和5年（1016年）、当子内親王に藤原道雅が密通しているという噂が立った。
これに激怒した父三条天皇は皇后や親王らのとりなしも聞きいれずに道雅を勅勘、二人の手引きをしていた乳母中将内侍をも追放する。
その後、内親王は母娍子のもとに引き取られ、以後内親王と道雅はその仲を裂かれてしまう。
世間では「伊勢物語の斎宮であればともかく、この内親王は既に斎宮を下りているのだから」と同情する声もあった。
しかしながら、内親王は悲しみのうちに自ら落飾し、その6年後に短い生涯を閉じた。
なお、道雅が内親王と引き裂かれた後に贈った別れの歌、「今はただ思ひ絶えなんとばかりを人づてならで言ふよしもがな」（『後拾遺和歌集』）は後に百人一首に採られている。