曙立王 (Aketatsu no o)

曙立王(あけたつのおう)は、『古事記』に登場する皇族。
大俣王の子で、菟上王と兄弟。
開化天皇の皇子である彦坐王の孫にあたり、伊勢の品遅部、伊勢の佐那造の始祖とされる。
三重県多気郡多気町の式内社・佐那神社は天手力男神と曙立王を祀る。

『古事記』によると、唖の誉津別命が出雲国に赴くさい、そのお供をするべき人物として占いに当たったので、曙立王がうけいをすると、一度死んだサギが蘇り、また一度枯れた樹木が蘇った。
そこで垂仁天皇は彼に大和師木登美豊朝倉曙立王という名を与え、さらに菟上王をもお供にして、出雲を訪問させたという。

一説に曙立王が唖の皇子の伝承と関係を持っているのは、伊勢の佐那造がこれを語り伝えたためであるとされる。
伊勢の佐那近辺は古来より水銀の産地として知られる。
尾畑喜一郎は佐那造が古代の水銀採掘に携わった人々であるとし、気化した水銀を長時間呼吸することによって喉の病を患い、その職業病が誉津別命と曙立王の伝承を結びつけたとしている。

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