重祚 (Choso)
重祚(ちょうそ)とは、一度退位した皇帝が再び践祚(せんそ:皇帝に即位すること)することをいう。
日本の天皇
現在までに重祚した天皇は二人で、皇極天皇が斉明天皇として、孝謙天皇が孝謙天皇称徳天皇として、それぞれ重祚している。
皇極天皇の場合は子の天智天皇の政治的思惑による時間稼ぎである。
孝謙天皇の場合は自身の政治的な思惑から一度皇位を譲った相手(淳仁天皇)に無理矢理譲位させている。
なお、後醍醐天皇が元弘の乱によって隠岐諸島に流罪となり、かわって光厳天皇(現在では北朝 (日本)天皇とされている)が即位したものの、後に隠岐を脱出し帰京した後醍醐天皇によって光厳天皇の即位は否定された。
この例を、北朝を正統とする立場からは、光厳天皇の治世をはさんだ後醍醐天皇の重祚と見る意見もある。
南朝 (日本)を正統とする現在では、隠岐に配流となっていた期間も後醍醐天皇の即位は継続している。
光厳天皇の正統としての即位は「無かった」ことになっている。
中国の皇帝
中国では、7世紀末~8世紀始めの、唐における武則天即位、建国(武則天)の前後において、中宗 (唐)・睿宗 (唐)が即位後に武則天により退けられた。
武則天死去後、皇帝の位に復帰している。
また、明の英宗 (明)が土木の変でオイラト軍に囚われると、朝廷では弟(景泰帝)を帝位につけて帰還後の英宗を幽閉していた。
後に英宗がクーデター(奪門の変)を起こして再度即位している。
朝鮮の王
朝鮮では、13世紀末~14世紀半ばの高麗が元 (王朝)の属国化された時期に、元の宮廷の意向によりしばしば王位を王世子に譲らされたり復位させられたりした。
このため、宮中の混乱と元への依存が深まり、王朝衰退の要因となった。