伊吹山 (Mt. Ibuki)

伊吹山(いぶきやま、いぶきさん)は標高1,377.3m、滋賀県と岐阜県の県境にある伊吹山地の主峰。
滋賀県最高峰の山であり、日本百名山のひとつでもある。
琵琶湖国定公園の一部。
三角点が置かれている頂上は、滋賀県米原市に位置する。

古くから霊峰とされ、日本武尊が山の神との戦いに敗れ傷を負った地とされる。
また古代には三関のひとつである不破関が置かれた。
これらの経緯から伊吹山は古来より歌枕として知られる。

自然

山麓から山頂にかけて、様々な野草が自生するお花畑がある。
景観は高山の高茎草原そのものの様相をみせる。
おもなものとしてルリトラノオ、ニッコウキスゲ、メタカラコウ、ハクサンフウロ、クガイソウ、オオバギボウシ、シシウド、シモツケソウなどがある。
またイブキレイジンソウ、イブキアザミ、コイブキアザミ、イブキジャコウソウ、イブキトリカブトといった「イブキ」の名を冠する植物も自生する。

1927年(昭和2年)2月14日に11.82mの積雪が観測された。
これは世界山岳気象観測史上1位とされる積雪の世界記録である。
しかし、この記録は吹き溜まりの影響を受けているとの指摘もある。

石灰岩採掘

伊吹山は数千万年前に噴火した海底火山であった。
その時期ににサンゴ礁が出来たため良質の石灰岩が産出する場所として知られている。

近代のコンクリート・セメント需要の急増により、伊吹山の石灰岩も大量に採掘されてきた。

右の国友や琵琶湖からの写真にて白く見える場所が採掘した跡である。
ある程度の植生の回復が見受けられる。

交通

1965年に岐阜県関ヶ原町から山頂近くまでの「伊吹山ドライブウェイ」が開通した。
名阪近鉄バスの定期登山バスが休日や夏休みなどに関ヶ原駅・大垣駅から運転されている。
また1993年からは大阪駅桜橋口、2003年からは名古屋駅からの伊吹山山頂行きの名神ハイウェイバスが運転されている。

伊吹山ドライブウェイは近畿日本鉄道が所有し、名阪近鉄バスが運営を行ってきた。
しかし、2006年にオーストラリアの投資銀行であるマッコーリー銀行の子会社である日本自動車道に譲渡し、近鉄および名阪近鉄バスは伊吹山ドライブウェイの運営から撤退した。
なお、名阪近鉄バスの登山バスはこれまで通り運転される。

登山・観光

伊吹山は中京圏および京阪神地区からそれほど遠くない位置にあり、かつ麓を東海道本線や名神高速道路が通じているので交通の便の良がよい。
また、多くの伝説が残された名山としての知名度が高い。
さらに、夏季に山頂近くを彩る高山植物を含む野草群のお花畑と、9合目までドライブウェイで登れるという手軽さもある。
こうしたことから、人気のある観光地として親しまれている。
主な観光コースは9合目駐車場まで自家用車やバスで登り、その後、遊歩道で山頂に至るものである。
遊歩道は3コースあり、山歩きに適した靴の着用が望ましい。
このうち西遊歩道は坂が緩やかで一番上りに適している。
中央遊歩道は山頂へ直登するもので、もっとも急坂であるため下り向けである。
東遊歩道はあまり整備されておらず下り専用(案内看板より)である。

山頂部には5軒の山小屋が密集している。
これらの山小屋は、昼(10~16)は売店として営業しているほか、ご来光を待つ観光客や登山者のために、一部の小屋では仮眠のための宿泊も可能となっている。
そのため、深夜・未明の仮眠受付も可能となっている。

登山コースは数コースある。
最も一般的なのは米原市側の伊吹山スキー場から登るコースである。
なお、この登山道は滋賀県道268号伊吹山上野線に指定されているが自動車通行は当然不可能である。
3合目までは索道や自家用車で登るのが一般的である。
途中5合目には売店小屋、6合目には避難小屋がある。
昼間の登山だけでなく、ご来光を見るために涼しい夜間に登山することも盛んである。
週末などは深夜に伊吹山を見ると、登山道を行く登山者の懐中電灯の列が点々と見られることがある。
ドライプウェイも夏季は午前3時から通行可能で、ご来光を見る人のニーズに応えている。
登山道の3合目付近は野草が多く自生、あるいは植えられている。
そのため、3合目だけを観光ポイントとして訪問する人もいる。

冬場は伊吹山スキー場でスキーやスノーボードを楽しむことができる。
しかし、近年は地球温暖化に伴う滑走可能期間の短縮傾向が著しい。

[English Translation]