天橋立 (Amanohashidate)

天橋立(あまのはしだて)は、京都府宮津市の宮津湾にある景勝地である。

概要

天橋立は、約7,000本のマツ林が続く長さ3.2km(大天橋、小天橋)、幅20から付根が170mほどの砂嘴(さし)である(地学上では砂州)。
宮津湾から阿蘇海を作る。
阿蘇海からは、文珠切戸(もんじゅのきりど)と文珠水路(もんじゅのすいろ)によって、宮津湾へ開く。
また、一般にはそれを展望する傘松公園も含めた総称とする場合もある。
大橋立と小橋立は可動橋で結ばれ(右写真手前の陸と砂嘴の間)、その下を遊覧船など小型船が通る。

人が逆さになって見ると、天に架かる橋のように見えることからこの名がついた。
北側の傘松公園から「股のぞき」で見るのが名称の由来でもあり、伝統的に美しいとされている(この傘松公園からの眺望は、「斜め一文字」とも呼ばれる)。

南側からの眺め(及びその展望台)である「飛龍観」(ひりゅうかん。
龍が天に登る姿に見えることから)も人気が高く、北側と観光客を二分するほどになっている。
その他にも展望台があり、東側からの眺めを「雪舟観」(せっしゅうかん。
左に掲げた雪舟筆「天橋立図」が描かれたことから)、西からの眺めを「一字観」(いちじかん。
「一」の字に見えることから)という。

古くから名所として知られており、一例として百人一首の小式部内侍の歌「大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみもみず 天橋立」が見られるほか、丹後国風土記には、イザナギが天に昇るためのはしごが、イザナギが寝ている間に倒れて天橋立になったとの記述がある。
江戸時代から松島(現在の宮城県)、宮島(現在の広島県)とともに日本三景の一つに数えられた。

1952年(昭和27年)11月22日に国の特別名勝に指定され、また日本の白砂青松100選にも指定されている。
1955年6月1日には若狭湾国定公園の一部として国定公園に指定されていたが、2007年8月3日に丹後天橋立大江山国定公園として独立した。
2007年には日本の地質百選に選定された。

京都府、宮津市などは「天橋立-日本の文化景観の原点」という名で、文化庁に対し世界遺産暫定一覧表記載資産候補としての提案をしている。

交通

飛行機

大阪国際空港(伊丹) - 但馬飛行場(日本エアコミューター)

大阪国際空港にて日本航空の東京便と連絡。

コウノトリ但馬空港から全但バス空港連絡バスで豊岡駅 (兵庫県)へ。
同駅から北近畿タンゴ鉄道で天橋立駅下車。

コウノトリ但馬空港(または豊岡市街)から車で約60分。

鉄道

北近畿タンゴ鉄道北近畿タンゴ鉄道宮津線 天橋立駅下車。

京都駅からは、JRからの直通特急を利用して約2時間。

天橋立駅から天橋立の南端部へは徒歩すぐ。
北側の傘松公園へは丹後海陸交通のバス・観光船などで一の宮へ行き徒歩で府中駅へ。
同駅から天橋立鋼索鉄道に乗車、傘松駅から徒歩。


京都から

京都縦貫自動車道→(丹波インターチェンジ)→国道27号→(綾部安国寺インターチェンジ)→京都縦貫自動車道→(宮津天橋立インターチェンジ)→国道178号→京都府道2号線→天橋立

大阪から

中国自動車道→(吉川ジャンクション)→舞鶴若狭自動車道→(綾部ジャンクション)→京都縦貫自動車道→(宮津天橋立IC)→国道176号→京都府道2号線→天橋立

侵食問題

天橋立は、近年、侵食により縮小・消滅の危機にある。
これは、戦後、河川にダムなどが作られ、山地から海への土砂供給量が減少し、天橋立における土砂の堆積・侵食バランスが崩れたためである。
これ以上の侵食を防ぐため、行政では砂州上にそれと直交して小型の堆砂堤を多数設置し、流出する土砂をそこで食い止めようとしている(写真南側よりの眺め(飛龍観)の向かって右側の砂浜がノコギリ状になっている部分)。

松食い虫の問題

松くい虫のため、一時松が立ち枯れし、全滅の危機に瀕した。
その後害虫駆除を行い現在では小康状態を保つ。

参考文献

天橋立物語 その文化と歴史と保全 - 岩垣雄一 著 (2007年7月、技報堂出版) ISBN 978-4-7655-1721-8

[English Translation]