日本三景 (Nihon Sankei)

日本三景(にほんさんけい)とは、日本の3つの名勝地のことである。

概要

日本三景は以下の3つの名勝地を指す(番号は上掲されている画像の数字と対応)。
全て海(沿岸)にある風景となっており、各々古くから詩歌に詠まれ、絵画に描かれていた。

松島 … 宮城県宮城郡松島町を中心とした多島海
天橋立 … 京都府宮津市にある砂嘴
厳島(宮島) … 広島県廿日市市にある厳島神社を中心とした島。

江戸時代前期の1643年(寛永20年)に、儒学者・林鵞峰がその著書『日本国事跡考』において、「松島、此島之外有小島若干、殆如盆池月波之景、境致之佳興、丹後国天橋立、安芸国厳島為三処奇観」と書き記した。
これを端緒に「日本三景」という括りが始まったとされる。

その後、1689年(元禄2年)に儒学者・貝原益軒が、その著書『己巳紀行(きしきこう)』(丹波国丹後若狭国紀行)において、天橋立を旅したくだりで天橋立を「日本の三景の一とするも宜也」と記している。
これが「日本三景」という言葉の文献的な初出とされ、貝原が訪れる以前から「日本三景」が一般に知られた括りであったと推定されている。

日本三景を雪月花にあてる場合、「雪」は天橋立、「月」は松島、「花」は紅葉を花に見立てて宮島をあてている。

近況

近年の年間観光客数は、松島が約370万人(奥松島や塩竈市などを含む松島全体では622万人)、宮島が約309万人(対岸も含めた廿日市市全体では562万人)、天橋立が約267万人(阿蘇海に面する宮津市と与謝野町の合計は約371万人)となっている。

観光大使として、松島には「松島キャンペーンレディ」、天橋立には「プリンセス天橋立」、宮島には「宮島観光親善大使」がおり、日本三景共同キャンペーンの際などに一緒に活動している。

日本三景はいずれも世界遺産登録に動いたが、現時点では厳島神社(登録)以外は登録に至っていない。

2006年(平成18年)7月、天橋立、松島、宮島の日本三景観光連絡協議会では、林春斎の誕生日の7月21日を日本三景の日と制定した。

2007年(平成19年)4月、日本を訪れる外国人観光客向けに、ミシュランガイド実用旅行ガイド (MICHELIN Voyager Pratique Japon) が発刊された。
これは「ビジット・ジャパン・キャンペーン」の一環として、ミシュラン社や国土交通省などが連携したものである。
日本三景では松島と宮島が単独の項目として記載され、各々三ツ星が3つずつ付いた。

2009年(平成21年)3月、日本を訪れる外国人観光客向けに、ミシュランガイド観光ガイド (MICHELIN Green Guide Japon) が国際観光振興機構の協力を得て発刊された。
日本三景では松島と宮島が単独の項目として記載された。
松島では、松島海岸地区に三ツ星3、二ツ星4、一ツ星8の計25、塩竈市地区に二ツ星3の計6、全体で合計31の星が付いた。
宮島では三ツ星3、二ツ星2、一ツ星3の計17の星が付いた。
2009年9月には英語版も発刊される予定。

温泉・冷泉

日本三景としての知名度の高さはあれ、各地域では宿泊客数の減少に苦しんでいる。
その打開策の1つとして、日本三景が持ち合わせていなかった温泉を開発する動きが近年起こっている。

天橋立では、1999年12月20日に天橋立温泉が開湯した。
キャッチコピーは「神々の遊湯(あそびゆ)」。
現在は旅館9軒、民宿2軒、外湯1軒で利用されている(一部の旅館は鉱泉)。
泉質は塩化物泉や単純温泉など。

宮島には、冷泉を加温して給湯する温泉があったが、30年前の公共下水道工事により途絶えた。
2004年に新たにボーリングなどを行い、冷泉が復活した。
現在は、旅館3軒が加温して給湯している。
泉質は放射能泉。

松島では、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに合わせ、2008年8月5日に松島温泉 (宮城県)が開湯した。
キャッチコピーは「太古天泉」。
泉質は単純温泉と塩化物泉。

その他

林春斎の言葉は各名勝地の記念碑に記されているが、全ての記念碑で紹介する順序が違っている。
松島では原典通り東から「松島、天橋立、厳島」、厳島では西から「厳島、天橋立、松島」、天橋立では「天橋立、松島、厳島」と、それぞれ自らを三景の筆頭に置いている。

新日本三景

1915年(大正4年)、日本三景にならって実業之日本社主催による新日本三景の選定が行われた。
全国投票の結果、以下の3つが選ばれた。

大沼 (七飯町)(ポロトー) … 北海道亀田郡七飯町にある堰止湖。
北海道駒ヶ岳を借景する。

三保の松原 … 静岡県静岡市清水区にある砂嘴。
富士山および伊豆半島を借景する。

耶馬渓 … 大分県中津市にある渓谷

[English Translation]