石器 (Sekki (stone tools))

石器(せっき)とは、石を材料として、それを加工して製作した道具の総称である。
主として手の延長としての石製の道具を指し、石碑や墓石のようなものは含めない。
縄文時代に儀式に使用されたと考えられる石棒を広義の石器に含めることがある。

石器は、加工方法によって大きく2種類に区分される。
一つは、石同士あるいは、道具を使用して打ち叩くことによって、剥片をはいで道具として使用するのにかなった形に成形する打製石器(だせいせっき)である。
もう一つは、刃を鋭くするため、また儀式に使用するために磨き上げた磨製石器(ませいせっき)とがある。

打製石器は人類の最も古い道具の一つと考えられ、アウストラロピテクスが使っていたとする説もある。
他の動物でも石を道具として使用する例はあるが、加工するのは人間だけである。
ただし、チンパンジーでそれに近い例があるともいう。

オルドワン型石器群は、ヒト科人類による最古の石器群といわれている。
礫の一部を打撃して造るチョッパー・チョッピングツールを主体とする。
この石器群は、ケニアのトゥルカナ湖東海岸の諸遺跡やタンザニアのオルドヴァイ峡谷の遺跡などで出土している。
因みに、この石器の担い手はホモ・ハビリスもしくは頑丈型猿人と推測されている。

磨製石器はジョン・ラボックによって新石器時代の指標とされたが、実際には中石器時代に当たる紀元前9000年に北西ヨーロッパや西アジアで局部磨製石器が出現している。

石器の種類
石核 (Core)石器を制作した時に残った石材。

剥片 (Flake)石器を制作した時に発生した欠片。

石刃、ブレード (Blade)後期旧石器時代に特徴的な石器の素材。
石核から大量の石刃を創り出し、これを加工して石器にする。

石核石器 (Core Tool)
剥片石器 (Flake Tool)
礫器 (Pebble Tool) もっとも原始的な石器の一つである。

チョッパー (Chopper) - 礫の一部に片面から数回の打撃によって打ち欠いて刃をつけた石器。
片刃の礫器とも呼ばれる。
刃の断面の角度は20°~30°くらいが多い。

チョッピング=トゥール (Chopping Tool) - 礫の一部に両面から交互に打撃を加えて、表面を剥離させジグザグ状の刃をつけた石器。

握斧、握槌、ハンド=アックス (Hand Axe)礫の全体を両面から打ち欠いて刃をつけた石器。
上端が尖る形状が多く、舌状、フィクロン形、槍先形あるいはミコク形、卵形、心臓形、アーモンド形などど呼称される場合がある。

尖頭器 (Point)先端を鋭く尖らせた石器。
槍先に付けたと考えられる。
細長く鋭く尖る形のものが典型的だが、それ以外にも多くの種類の尖頭器がある。
石槍とも言う。

削器、スクレーパー (Scraper) F.ボルドによると剥片の先端部分を打ち欠いて刃をつけた石器。

掻器、端削器、エンド=スクレーパー(End Scraper)
削器、側削器、サイド=スクレーパー (Side Scraper)
彫器、刻器、グレーバー、ビュラン (Graver), (Burin)(仏)
バックド=ブレード (Backed Blade)
石錐錐状に尖らせた石器。
皮革などに穴をあけるために使用したと思われる。

ナイフ形石器 (Knife Blade)石刃から創り出した石器の一種。

ノッチ、抉入石器 (Notched Tool)
細石器 (Microlith)
石匙 携帯に便利なように工夫された、日本の石器。

石斧
局部磨製石斧
石篦
石鏃
石鏃石銛
磨石
凹石
石皿

石材

日本列島の旧石器時代に用いられた石材の代表的なものは、黒曜石、頁岩、サヌカイトなどがあげられる。

北海道地方 - 東部に遠軽町白滝黒曜石原産地、西部に赤石川黒曜石原産地がある。

東北地方 - 広く硬質頁岩が分布。

関東地方 - 太平洋沖には神津島黒曜石原産地がある
中部地方 - 中央高地には和田峠 (長野県)の黒曜石原産地がある。

近畿・中四国地域 - サヌカイトは奈良県二上山 (奈良県・大阪府)および香川県五色台、さぬき市にある金山などで産出する。

[English Translation]