脱藩 (Dappan (Leaving the Domain))
脱藩(だっぱん)は、江戸時代に武士が藩を脱出して浪人になること。
概要
戦国時代 (日本)では、主君を違える行為は一般的に発生していたが、江戸時代に入ると「脱藩は臣下の身で主を見限るものとして」許されない風潮が高まり、討手が放たれることもあった。
これは、脱藩者を通じて軍事機密や御家騒動などが表沙汰になり、藩(藩主)にとっては致命的な改易が頻繁に生じたことも一因である。
しかし、江戸時代中期以降、太平の時代に入ると、軍事機密の意味は無くなり、慢性的な財政難のため、家臣が禄を離れることは、枢要な人物で無い限り事実上自由になっていた。
もっともその場合にも法的な手続をとる事が要件となっており、これに反して無断で脱藩した場合には欠落の罪として扱われた。
家名は断絶・闕所、本人が捕らえられれば場合によっては死刑にされたのである。
幕末には、藩にいると自由に行動できないので、脱藩し尊王攘夷の志を立てようとする武士が増えた。
藩の側も脱藩を黙認することが多かった。
主な脱藩者には、吉田松陰や坂本龍馬、中岡慎太郎などが挙げられる。