五芒星 (Gobosei (Pentagram))

五芒星(ごぼうせい、英語:Pentagram)または五芒星形・五角星形・五線星型・星型五角形・正5/2角形は、互いに交差する、長さの等しい5本の線分から構成される図形で星型正多角形の一種である。
五芒星は、五芒星形・五角星形・五線星型・星型五角形・正5/2角形とも呼ばれる。
五角形正五角形に内接し、対称的である。
一筆書きが可能。

5つの要素を並列的に図案化できる図形として、洋の東西を問わず使われてきた。
世界中で魔術の記号として用いられる。
扱い方一つで守護に用いることもあれば、上下を逆向きにして悪魔の象徴になることもある。
悪魔の象徴としてとらえる際には、デビルスターと呼ばれることもある。
また、外側の5つの三角形が星の光彩を連想させる事から、星を表す記号としてよく用いられる。

内側に生じる小さな正五角形を取り除いた形(☆:五光星)もしばしば五芒星と呼ばれることがある。

描き方

五芒星を描く向きには、下記のように2通りがよくみられる。
右上の図のように1角が上を向くようにする方法(しばしば「上向き」と呼ばれる)。
そして、これを36度 (角度)回転させて得られる、2角が上を向くようにする方法(しばしば「下向き」と呼ばれる)である。
いずれを用いるかは歴史的には一定していないが、近年では上向きのほうが多く用いられる。

また、描き順には文化的な意味が割り当てられている。

黄金比

1 1.618 を取る。
これは黄金比と等しい。

古くから黄金比で構成されている図形は美しいとされている。
単純ながらも黄金比を数多く含む五芒星は美しい図形の代表格とされた。

用例

デンマークのカステレット要塞、北海道の五稜郭、長崎市の市町村章は五芒星を元にしている。

陰陽道と安倍晴明の桔梗印

五芒星は、陰陽道では魔除けの呪符として伝えられている。
印にこめられたその意味は、陰陽道の基本概念となった陰陽五行説、木・火・土・金・水の五つの元素の働きの相克を表したものである。
五芒星はあらゆる魔除けのお札として重宝された。

日本の平安時代の陰陽師、安倍晴明は五行思想の象徴として、五芒星の紋を用いた。
キキョウの花の形との類似から、この紋は晴明桔梗紋などと呼ばれる。
現在も晴明神社の神紋などにみることができる。
セーマンドーマンも参照。

大日本帝国陸軍

准士官が正装・礼装時に着用する軍服 (大日本帝国陸軍)正装(大礼服)の正帽の天井には、金線(銀線)で五芒星が刺繍されていた。

「陸軍服制」(明治33年勅令第364号)によると、大将から兵卒まで、帝国陸軍の軍帽には五芒星が刺繍されていた。

桜花の萼(がく)の形を模しているとも、弾除け(多魔除け)の意味をかついで採用されていたとも言われており、その起源や意味についてははっきりしない。

また陸軍軍属においても、親任官以下全ての陸軍軍属が着用する軍属従軍服(軍属服)では、五芒星を模した臂章が制式(昭和18年制)であった。
他、背広着用時に佩用するバッジ型(七宝焼き)の徽章でも五芒星が使われていた。

古代西洋

歴史的に確認されているもっとも古い五芒星の用法は、紀元前3000年頃のメソポタミアの書物である。
シュメールはこれをUB(ウブ)と呼んだ。
さらに下向き五芒星を「角・小さな空間・穴」などの意味を表す絵文字とする。
エジプトでは子宮をあらわさせていたことから性的意味合いがあるとも言われている。
バビロニアでは、図形の各側面に前後左右と上の各方向を割り当て、それぞれ木星・水星・火星・土星、そして上に地母神イシュタルの現れとされた金星を対応させた。
五芒星に五星を対応させる考え方は、後のヨーロッパにも見受けられる。

また、火・水・風・土の四大元素にエーテル (神学)を加えた五大元素にもそれぞれの頂点が対応させられた。
それは現在でも魔法などのシンボリズムに使われている。

[English Translation]