式部省 (Shikibu-sho)
式部省（しきぶしょう）は、日本の律令制における日本の官制八省のひとつ。
和名は「のりのつかさ」。
758年から764年の間のみ文部省に改名された。
大学寮・散位寮の二寮を管掌していた。
概要
官人の人事評価制度（人事考課）、礼式、及び選叙（叙位及び任官）、行賞を司り、役人養成機関である大学寮を統括するため、八省の内でも中務省に次いで重要な省とされてきた。
そのために長官である式部卿は重要な役とされ、弘仁3年より四品以上の親王が任ぜられる慣例ができあがっていった。
これに近いものとして、同じく四品以上の親王から選出された中務省の長官である中務卿などが挙げられる。
ただし、南北朝時代 (日本)に二条良基が『百寮訓要抄』の中で式部卿の就任要件として「第一の親王是に任ず」と説いた。
諸親王の中でも血筋・経歴・学識にもっとも秀でた者が就任する官職と考えられていた。
実際、平安時代前期の式部卿は葛原親王や時康親王などに代表されるように政治的な見識の高い実務に通じた親王が補されることが多かった。
だが、次第に見識よりも天皇との血筋関係が任官において重要視されるようになると、式部卿である親王に代わって式部大輔が実質的な長官となった。
式部大輔は儒学者で天皇の侍読（家庭教師）を務めた者が就任する慣例となっていた。
儒学者である日野家や菅原氏・大江氏の中から任ぜられた。
特に菅原氏や大江氏の人間が参議になるための要路としての役割も果たしていた。
そして参議となってからも式部大輔を兼帯することは差し支えなかった。
そして式部省の次官である大輔及び少輔については、両方の権官を同時に任ずることはできないこととなっていた。
以上で述べた式部省の重要性から、式部省の判官である式部大丞（正六位相当）及び式部少丞（従六位従六位相当）は、しばしば従五位に叙せられることもあった。
五位となった式部丞のことを式部大夫と称した。
また、六位蔵人で式部大丞または式部少丞を兼職した者は、特に昇殿を許されたために殿上の丞（てんじょうのじょう）と言われた。
職員
卿（正四位下相当） … 一人
大輔以下の定員は以下のとおり。
大輔（正五位下相当） … 一人
少輔（従五位下相当） … 一人
大丞（正六位下相当） … 一人
小丞（従六位上相当） … 一人
大録（正七位上相当） … 二人
少録（正八位上相当） … 二人
史生 … 二十人
書生 … 三十人（812年より。翌年、二十人）
省掌 … 二人
使部 … 八十人（三十人とも）
直丁 … 五人
式部省被官の官司
大学寮
散位寮 （896年に式部本省に併合）