春記 (Shunki)

春記(しゅんき)は、平安時代の公卿藤原資房の日記。
春記の名は、死没するまで12年間在任した春宮権大夫の職名による。
別名『野房記』(家号の小野宮と名の資房から)。

現存する記事は、長暦2年(1038年)・長暦3年(1039年)・長久元年(1040年)・長久2年(1042年)・永承3年(1048年)・永承7年(1052年)・天喜2年(1054年)である。
その大部分は平安時代末期書写の東寺本(宮内庁書陵部に8巻、京都国立博物館に3巻、大谷大学に1巻架蔵されている)に収録されている。
鎌倉時代書写の書陵部所蔵の九条家旧蔵本長久元年記5巻・田中穫所蔵本の長暦2年記1巻・尊経閣文庫所蔵の三条西家本永承3年記3巻には、東寺本には収録されていない月日も多く含んでいる。
現存記事の大部分は蔵人頭在職時期のもので、平安時代における蔵人の活動を具体的に記述しているのが特色。
比較的に史料の少ない時期の史料として注目されているが、随所に筆者の個人的な感慨や批評的言辞が多くその意味でも興味深い。

この日記が広く知られるようになったのは、江戸時代末期に編纂された『丹鶴叢書』の中の13冊として上梓されたためである。

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