石田散薬 (Ishida Sanyaku (Ishida medicinal powder))
石田散薬(いしださんやく)とは新選組の副長、土方歳三の生家が製造、販売していた薬。
接骨や打ち身、捻挫、筋肉痛、また切り傷等に効用があるとされていた。
河童明神から製造方法を教わったという伝説がある。
原材料
土方家のすぐ近くにある、多摩川の支流の淺川(浅川 (東京都))に生えている牛革草(ぎゅうかくそう、ミゾソバのこと)を原材料にしている。
刈り取り時期は土用の丑の日限定である。
製造方法
刈り取った牛革草を天日で乾燥させ、目方を十分の一になるまでにする。
そして、乾燥した牛革草を黒焼きにして鉄鍋に入れる。
その後、酒を散布して、再び乾燥させる。
最後に、薬研にかけて粉末にすれば完成。
服用法
石田散薬の服用法は特異なものである。
それは水ではなく熱燗の日本酒で飲むようにされている。
服用量は一服、あるいは一日量、一匁(3.75グラム)とされている。
効果
本当に薬効があったかは疑わしく、1948年(昭和23年)薬事法改正に伴う製造販売許可申請において、厚生省は「成分本質効能に関する客観性のある科学的調査研究がなされていない」として石田散薬に限らず、黒焼き全ての薬効を認めないという方針を示した。
しかし、「石田散薬しか飲まない」と言って聞かなかった老人もいた。
今でも土方歳三資料館には製造中止した頃の石田散薬が僅かに残っている。
土方家の人は「古く怖くて飲めない」と言っている。
また、牛革草自体はリューマチ、止血、鎮痛に効果のあるれっきとした薬草である。
しかし、石田散薬は黒焼きにしたため薬効が台無しになってしまったと考えられる。