納殿 (Osamedono)
納殿(おさめどの)とは、金銀・衣装・調度品など各種の品物を納めて置く場所。
後世における納戸の元となった。
宮中においては、累代の御物は宜陽殿、恒例の御物は蔵人所・綾綺殿、紙と屏風は仁寿殿を納殿としていたことが『西宮記』(巻8・所々事)に記されている。
それ以外に、春興殿も納殿として用いられていたことが『日本後紀』(承和4年12月辛卯(2日)条)及び『三代実録』(元慶8年2月21日条)によって知られる。
これらは天皇の家政機関であった蔵人所の管理下にあり、同所の蔵人・雑色らが管理にあたった。
また、後涼殿にも納殿があったとされている。
また、公卿などの貴人の邸宅や寺院にも同様の施設があった。
『今鏡』には藤原師実や源雅実の邸宅の納殿が登場し、『吾妻鏡』(安貞元年6月17日条)にも征夷大将軍の御所に納殿が造営された記事が存在している。
更に『源氏物語』「須磨」にも光源氏の邸宅の納殿が登場している。
室町時代頃より「納戸」という呼び名が代わりに用いられるようになった。