落胤 (Rakuin (an illegitimate child))

落胤(らくいん)とは父親に認知されない私生子を指す。
特に高貴な人物のそれが話題になることが多い。
落とし胤、落とし子とも言う。
正式な血統の一族とはみなされないので、本来系図に書かれることもなく、通常は歴史的に登場することはない。

多くの場合、一般民衆に混じって生活するが、場合によっては正当な権力の承継者だと称して実力者に利用されることもある。
しかしそういった歴史の表舞台に出てくる人物の多くはそうした血統をもつ落胤であるという確証もない(天一坊改行のように落胤を騙った例もある)。
研究上疑問視されることが多い。

歴史上に登場した落胤といわれている人物

藤原不比等:飛鳥時代・奈良時代の公卿。
天智天皇の落胤説(史書、公的文書に明記)がある。

空也:平安時代中期の僧。
生存中より醍醐天皇の落胤説があったが、真相は不明。

平清盛:平安時代末期の武将。
『平家物語』に描かれているように白河天皇の落胤という説があるが疑わしい。

大友能直:大友氏の祖。
源頼朝の落胤説があるが、現在では否定されている。

島津忠久:島津氏の祖。
源頼朝の落胤説があるが、現在では惟宗忠康の子とする説が有力。

結城朝光:結城氏の祖。
源頼朝の落胤説がある。

岩松満純:室町時代中期の武将。
新田義宗の落胤とされるが、確証はない。

一休宗純:室町時代後期の名僧。
後小松天皇の落胤といわれている。

細川幽斎:戦国時代 (日本)の武将。
室町幕府征夷大将軍足利義晴の落胤との説がある。

天草四郎:江戸時代の人物。
豊臣秀頼の落胤であるとの風説がある。

土井利勝:江戸時代の大名、老中・大老。
『徳川実紀』などで徳川家康の落胤との説が採り上げられている。

松平康重:江戸時代の大名。
徳川家康の落胤説がある。

井伊直孝:江戸時代の大名。
徳川家康の落胤説がある。

柳沢吉里:江戸時代の大名。
徳川綱吉の落胤説がある。

藤堂平助:幕末の新撰組隊士。
伊勢国津藩主藤堂高猷の落胤であるといわれているが真相は不明。

現代

「皇室の落胤」と自称し高齢者などから金銭を騙し取る詐欺事件が時に発生する(有栖川宮詐欺事件など)。

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