貫 (Kan (An Unit of Weight and Currency))
貫(かん)は、尺貫法における質量の単位、また江戸時代以前の秤量銀貨の通貨の単位である。
江戸時代の一貫は分銅の実測によれば3.746~3.747キログラム(kg)である。
質量単位の貫は1000匁に当たり、明治時代に 1貫 3.75キログラム(kg) と定義された。
通貨単位の貫は1000文 (通貨単位)、100疋に相当する。
これらを区別するため、質量単位の方を貫目(かんめ、一貫分の目方の略)、通貨単位の方を貫文(かんもん)という場合もある。
北宋代以降の中国では、開元通宝という唐代の銭貨の質量が、質量の単位基準として用いられ、それを「銭」(せん)と呼んだ。
それが日本に伝わり、日本では、一文銭の目方であることから「匁」(もんめ、元は文目)とも呼んだ。
大量の銭を持ち歩く際、持ち運びやすく数えやすいように、銭の中央に空いている穴に紐を通して(貫いて)1000枚を1組としておくということがよく行われた(短陌の場合は960枚)。
これが通貨単位としての貫であり、その銭1000枚分の質量が質量単位としての貫となった。
上述のように、先に匁という単位があって、その1000倍の質量として貫が定められたものである。
しかし、メートル条約加入後の1891年に制定された度量衡法では、1貫は国際キログラム原器の質量(1キログラム)の 4分の15 (3.75 kg) と定義され、匁はその1000分の1と定められた。
尺貫法における他の質量の単位は、以下のようになる。
1貫 100両 1000匁 3.75kg
1両 10匁 37.5グラム
1匁 10分 (数) 3.75g
1分 10厘 375ミリグラム
1厘 10毛 (数) 37.5mg
1斤 (16/100)貫 600g
1貫文 2石(武将の領地を、石高制になるまでは銭による貫高制で表すことがあった)
貫は日本で作られた単位であり、尺貫法を用いる他の国では使われていない。
例えば中国では160匁(中国では「銭」)に相当する斤が質量の基本の単位として使用されていた。
ただし、国際的に匁 (momme) が真珠の質量の単位として使われており、それとともに貫 (kan) も使用されている。
銭貨の通貨単位としては1000文が1貫文となるが、江戸時代には省陌法と称して960文をもって1貫文とすることが一般的であった。
丁銀の通貨単位としては質量の測定値である貫および匁がそのまま用いられ、こちらは銀1000匁が銀1貫となる。