大津絵 (Otsu-e (Otsu paintings, named after the town of Otsu in Shiga Prefecture))
クリーブランド美術館所蔵。
大津絵(おおつ-え)とは、滋賀県大津市で江戸時代初期から名産としてきた民俗学絵画である。
さまざまな画題を扱っており、東海道五十三次を旅する旅人たちの間の土産物・護符として知られていた。
大津絵の画題を唄い込んだ元唄・音曲・俗曲(大津絵節)、大津絵節を元に踊る日本舞踊の一種(大津絵踊り)にも、「大津絵」の名がついている。
歴史
東海道五十三次、逢坂関の西側に位置する近江国追分駅 (滋賀県)(髭茶屋追分)を発祥の地とする。
寛永年間(1624年- 1644年)のころに仏画として描かれ始めた。
当初は信仰の一環として描かれたものであったが、やがて世俗画へと転じ、加えて18世紀ごろより教訓的・風刺的な道歌を伴うようになった。
松尾芭蕉の俳句「大津絵の筆のはじめは何佛」には、仏画が多かった初期の大津絵の特徴が表れている。
また、江戸時代初期のキリシタン弾圧に際して「自分は仏教である」という蓑関連事象的役割も有していたと言われる。
江戸時代を通じ、東海道大津宿の名物となった。
文化 (元号)・文政期(1804年- 1829年)には「大津絵十種」と呼ばれる代表的画題が確定し、一方でお守りとしての効能も唱えられるようになった(「藤娘」は良縁、「鬼の寒念仏」は子供の夜泣き、「雷神姿かたち」は雷除けなど)。
画題は増え続け、幕末には最盛期を迎えた。
しかし、画題の簡略化に伴って減少し、現在では百余種とされる。
特徴
神仏や人物、動物がユーモラスなタッチで描かれ、道歌が添えられている。
多くの絵画・道歌には、人間関係や社会に関する教訓が風刺を込めて表されている。
主な画題
※の付いているものは「大津絵十種」と呼ばれる主要画題。
他項に記述あるものはこれを明記する。
仏画
阿弥陀如来
十三仏信仰
青面金剛
千手観音
不動明王
世俗画
鬼の寒念仏 ※
福禄寿(外法の梯子剃り) ※
藤娘 ※ :他項「藤娘大津絵の藤娘」を参照。
文読む女
傘さす女
女虚無僧
瓢箪鯰 ※:ひょうたん-なまず。
地震を起こす大鯰をニホンザルがヒョウタンを用いて押さえ込もうとしている滑稽画。
他項「鯰絵大津絵」も併せて参照のこと。
鷹匠
座頭 ※
雷公(雷の太鼓つり) ※ :「雷神姿かたち」を参照。
提灯と釣鐘
槍持ち奴 ※
ネコとネズミ
長刀武蔵坊弁慶 ※
源為朝(矢の根五郎) ※
鬼の巡礼 :右上の画像を参照。