日本文学 (Japanese Literature)
日本文学(にほんぶんがく)とは、日本語で書かれた文学作品、もしくはそれらの作品や作家を研究する学問のこと。
國文学ともいう。
日本文学の定義を何に求めるかについては諸説あり、言語、発表された地域、文学の形式など多くの要素が考えられる。
(近年は外国籍作家が日本語作品を書く例など国籍や居住地と言語とが一致しない場合もあることを考慮し、日本語文学という呼称が使われることもある)。
時代区分による分類
歴史学のように政権の移動に注目することが必ずしもふさわしいとは考えられないが、目安にされることが多い。
また、上代・中古・中世・近世・近現代という区分けには研究者によって異論もあり、中古を設定しない場合もある。
近代と現代の区分についても諸説あり定まっていない。
丸谷才一は勅撰集により日本文学史の歴史区分を行うことを提示した。
日本史時代区分表も参照。
上代文学
およそ奈良時代まで。
中国大陸から朝鮮半島を経由して漢字が輸入され、漢文と、自分たちの話し言葉に漢字を当てはめた万葉仮名が使われるようになった。
『古事記』(712年)『日本書紀』(720年)のような史書や、『万葉集』のような歌集が生まれた。
中古文学
およそ平安時代にあたる。
漢詩・漢文が引き続き栄えるとともに、初の勅撰和歌集である古今和歌集が編纂され、和歌が漢詩と対等の位置を占めた。
当時の公式文書は漢文であったが、平仮名の中古日本語による表現が盛んにはじまった。
紀貫之の『土佐日記』が書かれたのに続き、清少納言の随筆『枕草子』、紫式部の『源氏物語』など古典文学の代表作と言える作品が著された。
中世文学
およそ鎌倉時代から安土桃山時代まで。
藤原定家らによって華麗な技巧に特徴がある『新古今和歌集』が編まれた。
また、現代日本語の直系の祖先と言える和漢混淆文によって多くの作品が書かれた。
鴨長明の『方丈記』、吉田兼好の『徒然草』などがこれにあたる。
作者不詳のものとして『平家物語』が挙げられる。
また、能の発達が見られた。
近世文学
およそ江戸時代の文学。
お伽草子の流れを汲み、仮名草子や井原西鶴らの浮世草子がうまれた。
また、歌舞伎や浄瑠璃が興り人気を博した。
俳諧が盛んになり、松尾芭蕉、小林一茶といった人々が活躍した。
近現代文学
明治時代以降。
開国とともに西欧の文明が流入し文明開化が起こると、日本文学も大きな影響を受けた。
西欧近代小説の理念が輸入され、坪内逍遥の『小説神髄』、二葉亭四迷の『小説総論』『浮雲 (二葉亭四迷)』などによって実質的に近代の日本文学が出発した。
いわゆる「文学」という概念は、この頃に生まれた。
なお、近代文学と現代文学の境界は非常にあいまいで諸説ある。
日本文学の形式
散文
物語 - 古物語 - 作り物語 - 歌物語 - 擬古物語 - 軍記物語
説話
小説 - 私小説 - 戯作
戯曲 - 能 - 歌舞伎 - 文楽(人形浄瑠璃)
随筆
日記
紀行
伝記・自伝 - 往生伝
文芸評論
日本漢文
韻文
詩 - 自由詩 - 定型詩 - 散文詩
和歌 - 短歌 - 長歌 - 旋頭歌 - 仏足石歌
連歌 - 俳諧連歌 - 狂歌 - 俳諧(連句)
俳句 - 定型 - 自由律
川柳 - 狂句
短歌(近代短歌)
歌謡 - 記紀歌謡 - 今様 - 小唄
漢詩
日本文学に隣接する文学活動
近隣では古代から中国文学の大きな影響を受け続けた。
アイヌ文学や琉球文学の活動と隣接する。
明治時代の日本への中国人・韓国人留学生の中から文学の担い手が生まれたことにより、日本文学は近代文学としての中国文学・朝鮮文学の成立に深く関わっている。
日本文学の研究
特に古典では書誌学的な研究も多く行われる。
近代以降、著名な文学者によっていくつかの文学論争が起こった。
やがて外国の研究者の注目も集めるようになり、古典から現代文学まで幅広く研究対象になった。
20世紀後半には文学理論の影響で研究の手法は非常に幅広いものとなった。
評論家一覧、比較文学、翻訳文学も参照のこと。
文学賞
近代以降多くの文学賞が創設され、作家の発掘と育成に貢献した。