天書 (Tensho)
天書(てんしょ・あまつふみ・あめのふみ)は、奈良時代末期に藤原浜成の撰とされる編年体の歴史書。
天書記・天書紀・浜成天書紀とも。
全10巻。
藤原浜成の撰とする説は確かめ得ないが、浜成が大納言に昇った事実はない。
そのため、妄信は慎まれよう。
古史古伝のひとつである。
概略
『天書』には三種ある。
逸文の『天書』(逸文のみで現存せず)
『長寛勘文』に1条、『釈日本紀』に28条、『諸社根元記』、『日本書紀簒疏』において逸文が引かれている。
『天書』(詳本)。
全十巻(神代から皇極天皇までの編年体の史書)
逸文をおおよそ含んでいるので上記の1と同じものとも考えられるが、逸文を基にした近世の偽書との説もある。
天書逸文とこの詳本との異同については結論が出ていない。
『天書紀』(略本)。
全十巻(神代のみの物語)
内容は逸文と相違する。
また、『本朝書籍目録』に「天書十巻」「大納言藤原浜成撰」とあることからの、後世の偽書であろう。