掛詞 (Kakekotoba)
掛詞(かけことば)とは、和歌などにおける修辞用法の一つ。
概要
同じ音、あるいは類似した音を有するものに、2つ以上の意味を込めて表現する方法。
古来より用いられてきた。
掛詞となる語は、ほとんどの場合平仮名で書かれる。
例
「逢坂山」…「逢う」/「逢坂」。
「まつ」…「松」/「待つ」。
「みお(を)つくし」…「身を尽くし」/「澪標」。
花の色は移りにけりな いたずらに 我が身「よにふるながめ」せし間に…「夜に降る長雨」/「世に経る 眺め」
大江山「いくののみち」の遠ければ まだ「ふみもみず」天の橋立…「行く野の道」/「朝来市(地名)の道」、「文(手紙)も見ず」/「踏みもみず(踏破もせず)」
英語における掛詞
日本語における掛詞と同じ手法を用いた修辞は、英語においてはほとんど見られない。
但し、英語においても、以下のような同音もしくは類似音を利用した技巧が使われることがある。
Spring forward, fall backward.
夏時間の調整、春には時計の針を進める、秋には戻す / 前に飛び出す、後ろに倒れる。
Two is the oddest prime number, since it is the only even one.
偶数(even)奇数(odd)と奇妙(odd)を掛けたジョーク。
最後のoneは代名詞で幾多の素数の中の一つのもの。
(意味は:数字の2は最も奇妙(odd/数学的には奇数を意味する単語)な素数である、何故ならば唯一の偶数の素数(代名詞one)であるから。)
(最初に2、最後にoneを置くのも洒落の類とみなせば二重の掛詞となる。)
詩において、節の最後を、語尾が同音節である単語(fallとhallなど)で揃える。
(押韻)
よく知られている言葉を、綴りが似た言葉に置き換える言葉遊び。
不思議の国のアリスはこの技法を多用していることで知られている。
シェークスピアの戯曲やマザーグースなどの著名な一節を引用して、別の意味を連想させる手法。
例えば、アメリカ映画のオール・ザ・キングスメンについて、タイトルを直訳すると「王の全ての家来」であるが、これはマザーグースにおけるハンプティ・ダンプティからの引用であり、権力者の悲劇的な結末をタイトルから連想させている。
また、アガサ・クリスティーの推理小説も、マザーグースからの引用が多いことで知られている。
なお、日本語に翻訳されると、原文におけるこれらの技法が十分に伝わらないことがある。