松林図屏風 (Folding Screen of Pine Trees)
松林図屏風(しょうりんずびょうぶ)は、長谷川等伯の代表作で、6曲1双の屏風画である。
日本水墨画の最高傑作であり、日本美術を代表する名品。
国宝。
東京国立博物館蔵。
長谷川等伯が祥雲寺障壁画(現・智積院襖絵)を完成させた頃、息子の久蔵が26歳の若さで亡くなった。
その悲しみを背負って描いたと言われる。
樹木の描き方には、等伯が私叙した牧谿の影響が見られるが、もはや模倣の域ではなく完全に自己の画風に取り込んでいる。
等伯の生まれ育った能登の海浜には、今もこの絵のような松林が広がっている。
彼の脳裏に残った故郷の風景と牧谿の技法と結びついて、このような日本的な情感豊かな水墨画が誕生したと言えよう。
右隻の右2扇分と左4扇分との間、左隻の右3扇分と左3扇分との間に紙継ぎのずれが見えるため、もともと下絵として描かれていた可能性もある。
継ぎ目を元の状態に戻すと、左隻の右1扇目上部の山から緩やかな三角形の構図になっており、丁度のその延長上の両端に落款が押されている。
本作品が世に知られるようになったのは、比較的新しく昭和7年(1932年)のことである。
その後直ちに国宝に指定されており、この作品の高い画質が与えた衝撃の強さを物語っている。
1997年には、松林図屏風とそっくりな作品が発見されており、等伯にごく近い絵師が本作を模倣したものと推定される。