枕草子春曙抄 (Makura no Soshi Shunshosho)
『枕草子春曙抄』(まくらのそうししゅんしょしょう)は、江戸時代に書かれた『枕草子』の注釈書。
単に『春曙抄』ともいい、著者は江戸時代初期の著名な古典学者北村季吟(1624年 - 1705年)。
底本は能因本。
刊記がないため、正確な出版年月日は明らかではない。
漢文による跋文に延宝2年(1674年)とあることから、これ以後の出版と考えられる。
12巻。
享保14年(1729年)発梓本では巻ごとに1冊に分けられ、巻末に壺井義知著『枕草子装束撮要抄』(「装束抄」)1冊が合綴されて袋綴じ13冊となっている。
ほかに『装束抄』が付かない六冊本もある。
「清少納言枕草子者、中古文学之遺風、日本語之俊烈也。并義於紫式部源氏物語、尤当閲翫之者也」で始まる「延宝二年七月十七日甲寅北村季吟書」の跋を持つ。
能因本系統の枕草子本文に、詳細な傍注・標注・校合・考証などを施す。
近世における枕草子注釈の最高峰として、同じ年に刊印された加藤盤斎(1625-1674)の『清少納言枕草紙抄』を圧倒したばかりでなく、明治まで版を重ねて広く流布した(元禄の頃にはすでに海賊版が横行したという)。