笠郎女 (KASA no Iratsume)
笠郎女(かさのいらつめ)は奈良時代中期の歌人。
生没年未詳。
一説には笠金村の娘。
大伴家持とかかわりのあった十余人の女性のひとりで、同時代では大伴坂上郎女とならび称されるすぐれた女性歌人。
『万葉集』巻三、巻四、巻八に計29首の歌が収載されている。
内訳は、譬喩歌3首、相聞歌24首、春および秋の相聞各1首。
いずれも家持に贈った歌である。
作品の周辺
森鴎外らが訳詩集『於母影』(1889年)を出すにあたって、396番歌を題名の典拠としたことはよく知られる。
また、594番歌を本歌取りしたものに、庭に生ふる ゆふかげ草の した露や 暮を待つ間の 涙なるらむ(藤原道経、新古今和歌集巻第十三、恋三、1190)
608番歌を本歌取りしたものに、行く水に 数書くよりも はかなきは 思はぬ人を 思ふなりけり (よみ人知らず、古今和歌集恋一、522)がある。