井上八千代 (INOUE Yachiyo)

井上 八千代(いのうえ やちよ)は、井上流家元の名跡。

初世 井上八千代

本名・井上サト(1767年 − 1854年)
宮廷文化を基盤に創始。

二世 井上八千代

本名・井上アヤ(1770年 - 1868年)
初世の兄の娘。
能の型を取り入れる。

三世 井上八千代

本名・片山春子(1838年- 1938年9月7日 旧姓 吉住)。
初代家元・サト、二代家元・アヤに師事する。
夫は能楽能職掌観世流七世片山九郎右衛門。
1872年(明治5年)の都をどり創設にあたっては振付ならびに指導を担当、これまで座敷舞であった京舞を舞台にのせ、また祇園町と井上流の関係を深めて流派を興隆にみちびいた。
四世井上八千代、松本佐多はじめ多くの弟子をそだてている。
なお家元名 井上八千代を名乗るのは96歳の時で、それまでは片山春子で通していた片山家能楽・京舞保存財団のウェブサイト中の記述を参照し加筆。
後述のとおり、孫の片山博通の妻が四世井上八千代である。
北条秀司の戯曲「京舞」は、三世八千代と四世八千代を主人公としている。

四世 井上八千代

本名・片山 愛子(1905年5月14日 - 2004年3月19日)

後年隠居して初代井上愛子を名乗る。
夫は片山博通。
子に片山九郎右衛門 (9世)、片山慶次郎、杉浦元三郎(いずれも能楽能職掌観世流)。

人間国宝認定。
芸術院会員。
日本芸術院賞、芸術祭賞等を受賞。
文化勲章受勲。

代表作は「長刀八島」、「海士(あま)」、「鉄輪(かなわ)」、「信乃」ほか

経歴

1905年、京都に生まれる

1908年(3歳)、三世 井上八千代に入門

1919年(14歳)、名取。
井上愛子を名乗る

1923年、八坂女紅場学園舞踊科教師になる

1931年、三世家元の孫、観世流能楽師片山博通(八世片山九郎右衛門)と結婚

1947年、家元、四世井上八千代を襲名

1952年、日本芸術院賞 受賞

1955年、人間国宝に認定

1957年、日本芸術院会員に選ばれる

1976年、勲三等宝冠章

1990年、文化勲章

2000年、孫の井上三千代に家元の名を譲り、「井上愛子」に戻る

五世 井上八千代

本名・観世三千子(1956年- 旧姓・井上)

1956年、四世八千代の片山愛子を祖母、片山九郎右衛門 (9世)(能楽能職掌観世流)を父に京都に生まれる。
夫は観世銕之丞 (9世)(能楽能職掌観世流)。
子に井上安寿子(観世安寿子)、観世淳夫。

弟は片山清司。

社団法人・日本舞踊協会役員。

経歴

1956年、京都に生まれる。

1959年(2歳)、舞の稽古を始める

1970年(14歳)、名取

1975年、私立ノートルダム女学院中学校・高等学校卒業。
学校法人「八坂女紅場学園」(祇園女子技芸学校)の舞踊科教師になる

1999年、日本芸術院賞受賞

2000年、家元「井上八千代」を襲名

参考図書

『京舞井上流家元・三世井上八千代(祇園の女風土記)』遠藤保子著 リブロポート社 1993

『井上八千代芸話』片山慶次郎 昭和42年 河原書店発行

[English Translation]