大宮長興 (OMIYA Nagaoki)
大宮 長興（おおみや ながおき、応永19年（1412年）－明応8年10月24日（1499年11月26日））は、室町時代後期の官人。
小槻氏系大宮官務家当主。
初名は時繁。
号は喜弥軒、後に文決軒。
法号は寿官。
大宮為緒の子。
子に大宮時元がいる。
永享4年（1431年）に史 (律令制)の筆頭である左大史に任命された。
官務の地位を対立する壬生官務家が握り、上首である長興が任命されなかったことに反発して、室町幕府に直訴する。
その結果、文安2年（1445年）2月に小槻氏氏長者・官務に任じられる。
だが、壬生官務家の壬生晨照（あさてる）がこれに強く反発し、11月には氏長者・官務の地位を奪われた。
以後、大宮長興と壬生晨照の対立は久しく続くことになる。
長興は近衛家・一条家に家司として仕え、室町幕府との関係を維持することで壬生官務家に対抗しようとしている。
その後、宝徳元年（1449年）に官務が壬生晨照から大宮長興に移り、寛正6年（1465年）には再び大宮長興から壬生晨照に移った。
その間の康正2年（1456年）には正四位上に叙されている。
応仁の乱によって、土御門大宮にあった大宮家の官文庫が焼失した。
さらに、宇治市平等院に疎開させていた古文書なども戦乱下の混乱で行方不明となった。
官務の職掌は朝廷の儀式・公事の遂行とそのために必要な先例の調査が主であり、先例の出典と言える官文庫古文書の喪失は大宮家にとっては致命的な打撃であった。
文明 (日本)10年（1478年）、長興は治部省に任じられる。
小槻氏で初めて卿となった。
文明18年（1486年）に出家して寿官と名乗り、号も文決軒と改めて、子の大宮時元を補佐した。
だが、応仁の乱後も辛うじて自己の官文庫を維持した壬生官務家との格差は広がる一方であった。
86歳で死去した。
有職故実に詳しく、日記『長興宿禰記』が今日まで伝わっているが、多くの文物は応仁の乱で失われた。
長興の死後、大宮官務家は急激に衰退し、52年後に姿を消すことになる。