姫の前 (Hime no Mae)
姫の前（ひめのまえ、生没年不詳）は鎌倉時代初期の女性。
鎌倉幕府の御家人、比企朝宗の娘。
鎌倉幕府第二代執権・北条義時の正室。
子に北条朝時（北条氏 (名越流)祖）、北条重時（北条氏 (極楽寺流)祖）、竹殿（大江親広・土御門定通妻）。
源頼朝の御所に勤める女官であった姫の前は美人で有名で、『吾妻鏡』に｢比企の籐内朝宗が息女、当時権威無双の女房なりて、殊に御意に相叶う、容顔太だ美麗なり｣と記されている。
義時は一年あまりの間姫の前に恋文を送っていが、姫の前は一向になびかず、それを見かねた頼朝が義時に｢絶対に離縁致しません｣という起請文を書かせて二人の仲を取り持ったという。
こうして建久3年（1192年）9月25日、姫の前は義時に嫁ぎ、建久4年（1193年）義時の次男･朝時を、建久9年（1198年）三男･重時を産む。
その後の消息はわからず、建仁3年（1203年）に姫の前の実家である比企氏一族が比企能員の変で滅亡していることや、義時の後妻の伊賀の方が元久2年（1205年）北条政村を産んでいることから、その間に死去したか、または何らかの事情により離縁したと推測される。