きのさき (列車) (Kinosaki (train))
きのさきとは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が京都駅~城崎温泉駅間を山陰本線(嵯峨野線)経由で運行する特別急行列車。
北近畿ビッグXネットワークを形成する列車の1つである。
イメージカラーは紫色。
走行路線の一つである嵯峨野線のラインカラーにちなんでいる。
運行概況
運行本数
下り(京都→城崎温泉)3本(1.3.5号)
上り(城崎温泉→京都)5本(2.4.6.8.10号)
一部の列車では車内販売も行われている。
最高速度
京都駅~福知山駅間 120km/h
福知山駅~城崎温泉駅間 95km/h
使用車両
国鉄183系電車
編成
■枠=グリーン車 白枠=普通車 (鉄道車両) 自=自由席 指=座席指定席 ※全車両禁煙
この編成はきのさき2・10・3・4号の編成
1~4がきのさきの編成
5~7がまいづるの編成
きのさき3・4号は1~4号車のみ
この編成はきのさき1・5・6・8号の編成
2両増結することがある
停車駅
京都駅 - 二条駅 - 亀岡駅 - 園部駅 - (胡麻駅) - 綾部駅 - 福知山駅 - 和田山駅 - 八鹿駅 - 江原駅 - 豊岡駅 (兵庫県) - 城崎温泉駅
担当車掌区
みやこ列車区
福知山車掌区
沿革
「きのさき」の名称は、列車名の由来としては、終着駅である城崎温泉駅及び兵庫県豊岡市の旧城崎町、同町にある著名な温泉地である城崎温泉から取られている。
また、1962年(昭和37年)より1968年(昭和43年)まで現行と同じ区間を運行した準急列車の列車愛称として用いた関係もあり、本節では主に山陰本線の京都駅発着列車群についてを記載する。
戦後準急列車の設定とその後
1956年(昭和31年)11月19日、京都駅~松江駅間を運行する準急列車として「白兎」(はくと)が設定される。
この「白兎」は京都駅で東海道本線特別急行列車東海道本線優等列車沿革に接続する形となっていた。
1957年(昭和32年)12月1日、「白兎」運行区間を米子駅まで短縮する。
1959年(昭和34年)9月22日、京都駅~天橋立駅・東舞鶴駅/福知山駅間を気動車で運行する準急列車として「丹後」(たんご)が新設される。
1961年(昭和36年)10月1日、サンロクトオとのちに称されるダイヤ改正に伴い、「白兎」気動車による急行列車に格上げし、福知山線経由大阪駅発着の編成を連結開始。
これに伴い運行区間を京都駅/大阪駅~松江駅間となる。
1962年(昭和37年)3月1日、京都駅~福知山駅・城崎駅間を運行する準急列車として「きのさき」2往復が設定される。
1963年(昭和38年)4月20日、福知山駅発着の「きのさき」の名称を「丹後」とし、「丹後」増発した天橋立駅・豊岡駅発着1往復を含めて4往復となる。
1966年(昭和41年)3月5日、準急列車制度改変に伴い、「きのさき」・「丹後」急行列車に格上げ。
1966年10月1日、福知山駅&rarr京都駅間を運行する「丹後(上り)3号」が準急列車として設定される。
当時の準急列車は「100km以下を運行する急行列車」と言う位置づけであったためであるが、これにより同一列車愛称で急行・準急が並立することとなった。
1968年(昭和43年)10月1日、「ヨンサントオ」とのちに称されるダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
「白兎」大阪駅発着編成を分離。
大阪駅発着は「北近畿_(列車)」に名称を変更する。
これにより、「白兎」は京都駅~松江駅間の運行となる。
京都駅発着で京都府北部・兵庫県北西部発着の急行列車の総称として「丹後」の名称が与えられた関係で「きのさき」の列車名称は廃止。
これに伴い、「丹後」は7往復の運行となる。
なお、準急列車はこの改正を以て廃止され、「丹後」全列車急行列車化される。
1970年(昭和45年)3月1日、「白兎」運行区間を出雲市駅まで延長。
1970年(昭和45年)10月1日、「丹後(下り)1号・(上り)5号」運行区間を北近畿タンゴ鉄道宮津線久美浜駅まで延長する。
1972年(昭和47年)3月15日、「丹後」1往復増発し、「丹後」8往復体制となる。
特急列車「あさしお」の登場とその後の展開
1972年8月、京都駅~鳥取駅間の臨時列車特別急行列車として「あさしお」が運転された。
これは定期化に先駆けてのものとされる。
1972年10月2日、このときのダイヤ改正に伴い、以下のように変更する。
「丹後」の下り1本、上り2本を特別急行列車に格上げし、「あさしお」3往復を新設。
「あさしお」は宮津線経由城崎駅発着・福知山駅経由城崎駅発着・倉吉駅発着・米子駅発着の各1往復の4往復であった。
「白兎」運行区間の内福知山駅~鳥取駅間で福知山線経由大阪駅発着の「北近畿_(列車)」を併結。
また倉吉駅以西を普通列車化する。
なお、倉吉駅~米子駅間は快速運転とした。
「丹後」は下り7本・上り6本のみの運行となる。
1982年(昭和57年)7月1日、「白兎」運行区間を京都駅~米子駅間に短縮する。
また、このころより「あさしお」に国鉄キハ181系気動車が導入される。
1985年(昭和60年)3月14日、東舞鶴駅発着の「丹後」1往復を「あさしお」に振り替える。
これに伴い、「あさしお」5往復、「丹後」下り6本、上り5本となる。
1986年(昭和61年)11月1日、福知山線宝塚駅~城崎駅間鉄道の電化に伴う1986年11月1日国鉄ダイヤ改正に伴い、「白兎」を格上げし「あさしお」1往復増発。
「あさしお」6往復体制とする。
1989年(平成元年)3月11日、「あさしお6号」の運行区間を鳥取駅&rarr京都駅間に短縮。
1990年(平成2年)4月1日、宮津線、北近畿タンゴ鉄道移管に伴い、同線を普通列車で運行していた「丹後9号・6号」を全線急行列車化。
1990年(平成2年)12月 大阪駅~城崎駅間を183系電車使用の臨時急行として「きのさき」名称復活。
1995年(平成7年) 臨時急行「きのさき」廃止。
これは、翌1996年(平成8年)の京都駅~城崎駅間の特急列車の名称が「きのさき」と決定したため。
北近畿ビッグXネットワークの完成とその後
1996年(平成8年)3月16日、園部駅~福知山駅間及び北近畿タンゴ鉄道福知山駅~大江駅 (京都府)~天橋立駅間電化に伴い、気動車列車であった特急「あさしお」・急行「丹後」を廃止し、電車特急化。
この地点で山陰線京都駅発着の急行列車が全廃。
京都駅発の方向別に列車名を替える施策を採る。
福知山駅経由城崎温泉駅発着列車「きのさき」
福知山駅発着列車「たんば_(列車)」
北近畿タンゴ鉄道宮福線経由天橋立駅発着列車「はしだて_(列車)」
京阪神対鳥取駅方面への連絡の代替として智頭急行智頭線経由のはくと_(列車)が速達列車であったこともあり、「あさしお」廃止により捻出されたキハ181系気動車を転用し「はくと」1往復が増発される。
なお、京都駅~鳥取駅間については走行距離が「あさしお」は230.3kmであるのに対し、「スーパーはくと」「はくと」は253.5kmと約20km長くなっているが、逆に所要時間は約1時間短縮されている。
鳥取駅~米子駅間については特急「いなば」が設定される。
また、「くにびき」の運行区間を鳥取駅発着となるなど手配が行われる。
まつかぜ (列車)鳥取・島根諸都市連絡優等列車沿革も参照されたい。
これにより、同時に運行を開始した新大阪駅発着の「文殊_(列車)」とすでに運行を開始している福知山線エル特急「北近畿_(列車)」と合わせて北近畿ビッグXネットワークが構成されることとなる。
2005年のJR福知山線脱線事故に際して、新大阪駅~福知山駅間の特急列車が運休となり、振替輸送が必要となったため、臨時列車が京都駅~城崎温泉駅間で下り2本・上り1本(81~83号)運行された。
2007年(平成19年)3月18日、全面禁煙化を実施。
列車名の由来
(五十音順)
「あさしお」・・・抽象列車名となるが、強いて言えば「朝焼けの天橋立」をイメージしたものとなる。
「きのさき」・・・終着駅である城崎温泉駅及び兵庫県豊岡市の旧城崎町、同町にある著名な温泉地である城崎温泉から。
「丹後」(たんご)・・・運行地域である令制国(いわゆる旧国名)の丹後国から。
「白兎」(はくと)・・・目的地である鳥取県東部の令制国(いわゆる旧国名)を指す因幡国(いなばのくに)の神話「因幡の白兎」から。
はくと_(列車)も参照のこと。