京福電気鉄道嵐山本線 (Arashiyama Main Line, Keifuku Electric Railroad Co., Ltd.)

嵐山本線(あらしやまほんせん)は、京都府京都市下京区の四条大宮駅から右京区の嵐山駅 (京福電気鉄道)までを結ぶ京福電気鉄道の路線。
嵐山線とも呼ばれるほか、京福電気鉄道北野線とともに嵐電(らんでん)と呼ばれる。

嵐山を始めとする洛西エリアの観光地への行楽路線であるとともに、繁華街である四条通へ出るための足ともなっている。

西大路三条~山ノ内間と蚕ノ社・太秦広隆寺両駅付近が併用軌道のほかは、すべて専用軌道となっている。

路線データ

路線距離(営業キロ):7.2km
軌間:1435mm
駅数:13駅(起終点駅含む)
複線区間:全線
電化区間:全線電化(直流600V)
閉塞 (鉄道):自動閉塞式

運行形態

一部を除き、四条大宮~嵐山間の全線通し運転である。
早朝、夕方、深夜の一部に、西院車庫との出入庫を兼ねた西院始発(四条大宮行き、嵐山行き、北野白梅町行き)、西大路三条始発(嵐山行き)、西院終着(嵐山始発)の列車がある。
春と秋の観光シーズンの土曜・休日の昼間には北野線北野白梅町~帷子ノ辻~嵐山間直通の列車が運転される場合がある。

通常は1両単行でワンマン運転を行っているが、ラッシュ時や観光シーズンには2両編成となり、2両目の運転台にも乗務員が乗車して運賃収受を行う。
四条大宮・帷子ノ辻・嵐山の各駅を除き無人駅だが、無人駅でも乗降客の多い駅(太秦広隆寺駅など)には時期や時間帯によって係員が配置され、乗客案内、運賃収受の補助、安全管理などを行っている。

歴史

1910年(明治43年)3月25日 - 嵐山電車軌道により四条大宮~嵐山間が開業。

1918年(大正7年)4月2日 - 京都電燈が嵐山電車軌道を合併。
嵐山電鉄部の下に置かれる。

1927年(昭和2年) - 嵯峨停車場前駅を嵯峨駅前駅に改称。

1928年(昭和3年)12月 - 全線複線化完成。

1929年(昭和4年) 6月 - 壬生駅開業。

1942年(昭和17年)3月2日 - 京福電気鉄道に譲渡。

1944年(昭和19年)4月16日 - 太子前駅を太秦駅に改称。

1956年(昭和31年)11月27日 - 鹿王院駅が開業。

1971年(昭和46年)7月11日 - 四条大宮~西院間の壬生駅廃止。

1975年(昭和50年)8月9日 - 嵯峨野駅を有栖川駅に改称。

1975年(昭和50年)12月15日 - 車両の集電装置をホイール式集電装置トロリーから集電装置ビューゲル・Zパンタに変更。

1982年(昭和57年)12月20日 - 早朝・深夜時間帯でワンマン運転開始。

1985年(昭和60年)3月16日 - 朝ラッシュ時除きワンマン運転化。

1987年(昭和62年)8月17日 - 終日ワンマン運転化。

2002年(平成14年)5月1日 -均一運賃になる(大人200円・小児100円)。
同時にスルッとKANSAIを導入。

2007年(平成19年)3月19日 - 三条口駅を西大路三条駅、太秦駅を太秦広隆寺駅、車折駅を車折神社駅、嵯峨駅前駅を嵐電嵯峨駅に改称。
また、北野線で試用されていた駅ナンバリングと日本の鉄道ラインカラー一覧が当路線を含む全線で正式導入された。

2008年(平成20年)3月28日 - 嵐電天神川駅開業。

2008年(平成20年)4月1日 - 四条大宮・帷子ノ辻・嵐山の各駅で発車メロディを導入。

駅一覧

駅番号のうちA2が欠番になっているのは、将来的な新駅設置に備えたものと思われるが、現在のところ具体的な計画はない。

廃止駅

壬生駅 (京都府) - 四条大宮駅~西院駅間、1971年7月11日廃止。

京都市営地下鉄東西線の延伸

京福線(嵐電)は、長らく京都市営地下鉄の路線網から孤立していた。
しかし、2008年1月16日の京都市営地下鉄東西線二条駅~太秦天神川駅間の延伸開業に伴い、同年3月28日に山ノ内駅~蚕ノ社駅間に新駅「嵐電天神川駅」が設置されたため、京都市営地下鉄と接続するようになった。
蚕ノ社駅から約280m東側の三条通上に設置し、地下鉄の太秦天神川駅に近接している。
駅ナンバリングは、2007年3月に導入された際に嵐電天神川駅にあたるA6が予め欠番となっていた。

なお、東西線延伸に伴い京阪電気鉄道京阪京津線の電車が地下鉄京都市役所前駅から太秦天神川駅まで、一部電車の乗り入れ区間を延長した。

JR山陰本線(嵯峨野線)改良工事の影響

西日本旅客鉄道(JR西日本)の山陰本線(嵯峨野線)は、日本国有鉄道時代特別急行列車・急行列車列車主体の長距離輸送を重点に置いていた。
都市近郊輸送に関してはほとんど考慮されていなかったが、国鉄分割民営化でJR西日本が発足した後、太秦駅の開業や嵯峨嵐山駅~馬堀駅間の複線新線切り替えが行われた。
その後も京都駅~園部駅間の鉄道の電化開業(後に福知山駅まで延伸、国鉄末期に電化完了していた城崎温泉駅までの電化直通)。
二条駅~花園駅 (京都府)間の複線高架橋工事完成、その後円町駅の開業。
さらに2010年春完成予定で京都駅~園部駅間の完全複線化工事が進行中であり、都市近郊路線としての性格を強めている。

それらにより、従来は京都市中心部から京福線(嵐電)や路線バスを利用して太秦・嵐山へ向かっていた観光客が嵯峨野線利用へとシフトする傾向が見られる。
これにより旧来からの併走路線各社を苦境へと追い込み、先述の完全複線化工事完成後はさらに厳しい状況に立たされることが予想されている。
先の新駅(嵐電天神川駅)建設について京都市の提案を京福電鉄が受けたのも、JRに対する対抗策という面がある。

嵐電ブラッシュ・アップ プロジェクト

2006年度より「嵐電ブラッシュ・アップ プロジェクト」として以下のような事業を行っている。

嵐山本線・北野線の名称を「嵐電」に統一(2007年3月19日)

観光名所の最寄駅など、7駅の名称の変更(2007年3月19日)

車内アナウンスへの観光案内の導入

各駅への集合案内板の新設

各駅のリニューアル

また、沿線に世界文化遺産を始めとする多くの観光地を有する嵐山本線・京福電気鉄道北野線では、これらに加えて以下の取り組みが行われている。

嵐電界隈館
2006年10月に、まず北野線の両端の北野白梅町駅と帷子ノ辻駅を除く各駅に「嵐電界隈館」と称するその駅近辺の名所の大きな写真パネルが掲示された。
続いて2007年9月には嵐山本線にも四条大宮駅・西大路三条駅・山ノ内駅 (京都府)を除く各駅に掲示された
(なお、嵐山駅では10月4日に「駅の足湯利用者30万人突破記念セレモニー」に合わせて除幕式が行われた)。
駅により上りホームか下りホームのいずれか片方に設置されていることが多いが、龍安寺駅と鹿王院駅は上下両方のホームに設置されている。
カラー写真の作品だが、嵐山駅 (京福電気鉄道)に掲示されたものだけは禅(天龍寺雲水)をテーマにしたモノクローム写真の6枚連作となっている。
この写真は写真家の森谷洋至の作品で、写真パネル脇に掲示されている「嵐電界隈館」の題字は書家の樋口華玄の筆による。
嵐山本線に設置されたものの一部には写真の枠外にその写真にちなんだ和歌が書かれている。

シンボルツリー
北野線の各駅には、2006年12月に帷子ノ辻駅を除く各駅にちなんだシンボルツリーや花壇などの植栽が行われている。
嵐山本線の駅には今のところ全くないが、これも「嵐電界隈館」同様に近い将来にほとんどの駅に植えられるものと思われる。

その他
集合案内板は嵐電天神川駅開業(2008年3月)以前は北野線の各駅にしか掲示されていなかったが、嵐電天神川駅の開業に伴い、嵐山本線の各駅にも設置された。

駅名標は、以前は駅上屋に取り付けられているタイプとホームに2本足で立てられているタイプの2種類があった。
2007年3月19日のラインカラー正式導入時にホームに2本足で立てられているタイプのものはすべて撤去された。

[English Translation]