嵯峨野観光鉄道嵯峨野観光線 (Sagano Scenic Railway's Sagano Sightseeing Tram)
嵯峨野観光線(さがのかんこうせん)は、京都府京都市右京区のトロッコ嵯峨駅から京都府亀岡市のトロッコ亀岡駅までを結ぶ嵯峨野観光鉄道の鉄道路線である。
概要
鉄道の電化・複線化のため、1989年にルートが変更された山陰本線の嵯峨嵐山~馬堀間の旧線を活用して、1991年からトロッコ列車が運行されている。
日本初の純粋な観光専用鉄道とされる。
当初は、それほど乗客が無いか、あっても物珍しさのある開業当初だけで、早晩今日のローカル線のような状況になると思われていた。
風光明媚な山陰本線旧線を走るということや、嵐山・嵯峨野といった有名観光地がそばにある。
保津川下りと周遊できることや、さらに観光客を魅せる沿線作り。
ユニークな乗務員の放送や案内などといった嵯峨野観光鉄道従業員の努力もあり、いつの間にか嵐山の観光といえばトロッコ列車といわれるほど、メジャーなものとなった。
近年は外国人団体客の利用も目立つようになった。
保津峡に沿った風光明媚な区間を走る。
車窓からは秋には紅葉、春には嵯峨野観光鉄道社員が植えたサクラが見られる。
亀岡への往路に嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車、復路に保津峡保津川下りの船と組み合わせて乗る観光客も見られ、そのため春・秋の観光シーズンでも亀岡から嵯峨方向の列車の方が比較的予約しやすい。
路線データ
管轄(事業種別):嵯峨野観光鉄道(鉄道事業者第二種鉄道事業)・西日本旅客鉄道(鉄道事業者第一種鉄道事業)
路線距離(営業キロ):7.3km
軌間:1067mm
駅数:4駅(起終点駅含む)
複線区間:なし(全線単線)
電化区間:なし(全線非電化)
閉塞 (鉄道):スタフ閉塞式
嵯峨野観光線の線路は現在もJR西日本の所有であり(戸籍上もJR西日本の路線としては全区間が山陰本線)、嵯峨野観光鉄道がこれを利用して鉄道事業法上の第二種鉄道事業者として列車を運行している。
トロッコ嵯峨~トロッコ嵐山間に山陰本線との一部共用区間があり、トロッコ亀岡発の列車は山陰本線の下り線を逆走する形で運転する。
ちなみに、嵯峨野観光鉄道自体もJR西日本の完全子会社である。
運行形態
全てトロッコ嵯峨~トロッコ亀岡間の折り返し運転である。
水曜日(休日・行楽期除く)並びに冬期(12月30日~2月末日)は運休する。
車両関係は営業線内に保守設備を持たず予備のない1編成のみのため、冬期運休期間内に親会社のJR西日本の車両基地へ保守や検査に出されることもある。
運賃は均一制で大人600円、小人300円である(2008年4月現在)。
全席指定で、前売り券一般発売は1か月前よりJR西日本の主な駅のみどりの窓口などで実施される。
(団体発売は別枠で受付)
また、トロッコ嵯峨・トロッコ嵐山・トロッコ亀岡での当日発売もあって、先着順で発売されるが、紅葉シーズンなどの繁忙期はすぐに売り切れる。
この路線は周遊券「京阪神ゾーン」のフリー区間に含まれており、ゾーン券提示で乗車することができる。
車両
車両は国鉄トキ25000形貨車の改造車5両編成 (SK300-1+SK100-1+SK100-11+SK100-2+SK200-1) で、トロッコ嵯峨寄りに国鉄DE10形ディーゼル機関車 (DE10 1104) を連結する。
機関車次位のSK300形は、「ザ・リッチ」と称する側板や床まで素通しとした「特別車」である。
この車両は雨天時には客を乗せられないため、指定券は前売りされず当日販売のみとなっている。
トロッコ亀岡寄りのSK200形には機関車を遠隔制御する運転台を装備する。
1号車(「ザ・リッチ」)以外の車両では、窓にガラスがはまっている。
なお、この「ザ・リッチ」を紹介するチラシはかなりユニークな内容となっている。
歴史
1899年(明治32年)8月15日 京都鉄道が嵯峨(現在の嵯峨嵐山)~園部間を開業。
1907年(明治40年)8月1日 国有化。
1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道に承継。
1989年(平成元年)3月5日 山陰本線の嵯峨~馬堀間を複線の新線に切り替え。
旧線の列車運行廃止。
1991年(平成3年)4月27日 山陰本線旧線を嵯峨野観光鉄道嵯峨野観光線としてトロッコ嵯峨~トロッコ亀岡間が開業。
トロッコ列車を運行開始。
駅一覧
トロッコ嵯峨駅 - トロッコ嵐山駅 - トロッコ保津峡駅 - トロッコ亀岡駅
接続路線
トロッコ嵯峨駅:山陰本線(嵯峨野線)(嵯峨嵐山駅)
トロッコ保津峡駅:山陰本線(嵯峨野線)(保津峡駅)
トロッコ亀岡駅:山陰本線(嵯峨野線)(馬堀駅)
その他
運転シミュレーションゲーム「電車でGO!」(初代)では山陰本線の上り普通列車が運転できるが、この旧線を運転することになる。
発売から少したって、トロッコ嵯峨駅にその初代の筐体が置かれたが、インカムなどが良くなかったのか、あまり期間を経たずに撤去されている。