関西本線 (Kansai Main Line)
関西本線(かんさいほんせん)は、愛知県名古屋市中村区の名古屋駅から亀山駅 (三重県)、奈良駅を経て大阪府大阪市浪速区のJR難波駅に至る鉄道路線(幹線)である。
このほか四日市 - 塩浜駅間、平野 - 百済駅間の貨物支線を持つ。
名古屋 - 亀山間が東海旅客鉄道(JR東海)、亀山 - JR難波間が西日本旅客鉄道(JR西日本)の管轄となっている。
概要
名古屋と大阪を三重県の北勢地方、伊賀国地方、奈良県北部を経由して結んでいる。
かつては名古屋と奈良を最短距離で結ぶルートとして直通列車なども運転されていた。
並行する東海道本線や東海道新幹線の整備、近鉄特急の攻勢で、名古屋 - 奈良・大阪間の輸送よりも、名古屋と伊勢市・南紀を結ぶ快速や特急による都市間輸送・観光輸送、電化された愛知・三重県内の名古屋 - 亀山・伊勢間および奈良県・大阪府内の加茂 - 大阪間における都市間輸送・通勤通学輸送が中心の路線となっている(詳細な運行形態は後述)。
柘植駅 - JR難波間が大都市近郊区間に含まれている。
そのうち奈良 - JR難波間が電車特定区間、加えて天王寺駅 - JR難波間が大阪環状線内に含まれ、区間外よりも割安な運賃が設定されている。
加茂 - JR難波間には1988年3月から大和路線(やまとじせん)という愛称がつけられている。
JR東海管内のうち名古屋 - 四日市間、JR西日本管内のうち加茂 - JR難波間は、それぞれ乗車カードであるTOICA、ICOCAの利用可能エリアとなっている(相互利用可能なカードについては各カードの記事を参照)。
また後者の区間ではJスルーが自動券売機で乗車券に引き換えることで利用できる。
路線データ
管轄・路線距離(営業キロ):全長179.6km(支線含む。名古屋 - JR難波間は174.9km)
東海旅客鉄道(鉄道事業者):
名古屋 - 亀山間 59.9km
西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者):
亀山 - JR難波間 115.0km
日本貨物鉄道:
鉄道事業者区間:
四日市 - 塩浜間 3.3km
平野 - 百済間 1.4km
鉄道事業者区間:
名古屋 - 亀山間 (59.9km)
軌間:1067mm
駅数:
旅客駅:50駅(JR東海18駅、JR西日本32駅。起終点駅含む、支線の駅除く、JR西日本は亀山駅除く)
貨物駅:2駅(旅客併設駅除く)
複線区間:
名古屋 - 笹島信号場間
弥富 - 桑名間
朝明信号場 - 富田間
富田浜 - 四日市間
南四日市 - 河原田間
木津 - JR難波間
電化区間:名古屋 - 亀山間、加茂 - JR難波間電化(直流電化1500V)
閉塞 (鉄道):
複線区間:複線自動閉塞式
下記以外の単線区間:単線自動閉塞式
亀山 - 加茂間:自動閉塞式(特殊)
四日市 - 塩浜間:タブレット閉塞式
保安装置:
加茂 - 王寺間:自動列車停止装置(拠点P方式)及び自動列車停止装置
王寺 - JR難波間:ATS-P(エンコーダー方式)
運転指令所:
名古屋 - 亀山:東海総合指令所
亀山 - 加茂:亀山指令所
加茂 - JR難波:新大阪総合指令所(加茂 - 木津間は亀山指令所の制御によるCTC区間)
最高速度:
名古屋 - 河原田間:120km/h
河原田 - 奈良間:95km/h
奈良 - 天王寺間:120km/h
天王寺 - JR難波間:95km/h
※名古屋 - 亀山間は東海旅客鉄道東海鉄道事業本部の管轄(名古屋駅のみ本部直轄、八田 - 亀山間は東海旅客鉄道三重支店の管轄)、亀山 - JR難波間は西日本旅客鉄道大阪支社の管轄(加茂 - JR難波間は支社直轄、亀山 - 加茂間は両端駅除き亀山鉄道部の管轄)である。
なお会社境界となる亀山駅はJR東海が管轄する。
地域輸送
現在、全区間を通して走る列車はなく、JR東海が管轄する名古屋 - 亀山間、JR西日本の非電化区間である亀山 - 加茂間、同社の電化区間である加茂 - JR難波駅間の3区間に分かれている。
名古屋 - 亀山間(JR東海)
名古屋 - 亀山間は電車による普通列車が同区間に運転されているほか、伊勢鉄道の気動車による普通列車の全便が四日市駅 - 河原田間を通る。
いずれの普通列車も昼間を中心にワンマン運転が行われている。
また、JR東海キハ75形気動車気動車で名古屋 - 鳥羽間に伊勢鉄道伊勢線経由で運転されている快速列車「みえ (列車)」が名古屋 - 河原田間で運転されている。
さらに、電車による快速が名古屋 - 亀山間で、区間快速がラッシュ時に名古屋 - 四日市・亀山間で運転されている。
昼間は名古屋 - 四日市間で1時間あたり快速と普通が各2本ずつあるものの、四日市 - 亀山間は快速のみ(ただしこの区間は各駅に停車)1時間あたり1本の運転となる。
電車による快速はラッシュ時のみに運転されていたが、2009年3月のダイヤ改正で名古屋 - 亀山間に桑名と四日市以南の各駅に停車する快速電車が昼間時間帯に新設された。
同時に、従来の蟹江・弥富と桑名以南の各駅に停車する快速は区間快速に改称された。
昼間の快速でもワンマン運転を行っている列車がある。
名古屋 - 四日市間では近鉄名古屋線と並走しており、競合区間となっている。
運賃面では優位となっているが、単線区間が残っていることや、両数が短いこと、四日市が街の中心部から離れていることなどにより、利用者の数では圧倒的に不利を被っている。
亀山 - 加茂間(JR西日本)
亀山 - 加茂間は閑散区間で、気動車によるワンマン運転が行われている。
かつては奈良方面など他区間と直通する列車もあったが2001年3月以降はすべてこの区間内の運転となっている。
区間内の全駅で列車交換が可能なため、昼間(加茂発10時から15時)はおおよそ毎時1本で、その他の時間帯は毎時2本程度運行されている(単線で行き違いを行う列車があるため、各駅での次の列車までの運転間隔は、60分または30分の等間隔ではない)。
ほかの区間と比べて運転本数は少ない。
2001年3月から毎月1回土曜日の昼間時間帯の列車が運休している。
バスなどの他の公共交通機関による代行輸送は行われていない。
運休日は当初は第4土曜日であったが2005年4月からは第2土曜日に変更されている。
また7月から9月頃までは行わない。
全列車、加茂で大和路線の大和路快速・快速・区間快速との接続を考慮したダイヤになっている。
一方で亀山での名古屋方面行きの列車との接続は朝や夕方以降は良いものの、日中は2009年3月改正で悪くなり40分 - 50分程度の待ち時間が発生する。
また、柘植での草津線との接続もどちらかというと良いとは言えない。
加茂 - JR難波間(JR西日本)
加茂 - JR難波間は普通列車のほか、加茂 - JR難波間に快速、加茂 - 大阪環状線間に大和路快速・区間快速が頻繁に運転されている。
ほかに和歌山線・桜井線 - JR難波方面の直通列車もある。
木津 - 奈良間は奈良線・片町線の列車も運転されている。
また、早朝にはJR難波・王寺方面から奈良経由で京都行の直通列車が運転されており、夕方以降も時刻表には記載がないものの先述の区間を双方向に直通する列車が数本運転されている。
優等列車
名古屋 - 河原田間を名古屋 - 紀伊勝浦間(伊勢鉄道経由)運転の特急「南紀 (列車)」が通る。
かつては河原田 - 湊町(現・JR難波)間にも東京 - 湊町・和歌山市間の急行「大和」を始め、名古屋 - 湊町・南紀方面や京都 - 伊勢方面などを結ぶ多数の優等列車が運行されていた。
1965年3月1日から1967年10月1日のダイヤ改正までの短期間だが、関西本線名古屋 - 八尾間を経由する特急「あすか」が設定されていたこともある。
しかし2006年3月18日のダイヤ改正で急行「かすが (列車)」が廃止されたのを最後に(廃止時の運転区間は名古屋 - 奈良間)、事実上大阪環状線と重複している天王寺 - 新今宮間を除き河原田以西での特急、急行列車の運行は無くなっている。
貨物列車
貨物列車は、名古屋 - 河原田間及び四日市 - 塩浜間の貨物支線、平野 - 百済間の貨物支線で運行されている。
そのうち平野 - 百済間で運行されているものはおおさか東線城東貨物線を参照。
コンテナ車のみで編成された高速貨物列車は名古屋貨物ターミナル駅 - 四日市駅間に1日3往復や、稲沢駅から伊勢鉄道伊勢線、紀勢本線経由で鵜殿駅まで1日1往復、四日市駅 - 塩浜駅・南四日市駅間で1往復ずつ運行されているのみである。
多くの列車は石油輸送タンク車や化学薬品輸送タンク車を牽引する専用貨物列車である。
また四日市駅・塩浜駅 - 稲沢駅(- 南松本駅)との間にはJR貨物タキ1000形貨車貨車のみで編成された高速貨物列車が運行されている。
三岐鉄道三岐鉄道三岐線 - 富田駅 - 四日市駅間では全国でここだけとなってしまったセメント輸送が行われている。
牽引機はすべて国鉄DD51形ディーゼル機関車ディーゼル機関車である。
歴史
ここでは、路線の歴史を中心に記述する。
関西本線の列車の歴史についてはかすが (列車)および近鉄特急史大阪 - 名古屋間の項目を参照のこと。
概略
名古屋 - 木津間は関西鉄道により開業した。
名古屋 - 柘植間を1895年に開通させた後、柘植 - 大仏駅(後に廃止)間を1898年に開通させて名古屋 - 奈良間を結んだ。
同年中には加茂 - 新木津(のちに木津と統合して廃止)間を開通させて、前年に買収した浪速鉄道の路線を経由して、大阪の網島駅(1898年 - 1913年の間、現在の京橋駅 (大阪府)近くにあったターミナル駅) - 四条畷駅 - 名古屋間に直通列車を走らせた。
奈良 - 湊町(現JR難波)間は大阪鉄道 (初代)により1892年に、木津 - 奈良間は奈良鉄道により1896年に開通している。
関西鉄道は大仏 - 奈良間を開通させた後、1900年に大阪鉄道を買収して名阪間の本線を大仏経由に変更した。
その後、奈良鉄道を買収し、1907年に加茂 - 大仏 - 奈良間を廃止して本線を木津経由に変更した。
こうして、現在のルートが完成した。
関西鉄道は名阪間で官設鉄道(東海道本線)と激しい競争を繰り広げていたが1907年に国有化された。
大正時代から大阪電気軌道(現在の近畿日本鉄道)などの私鉄が並行して路線網を伸ばしてくると次第に利用客を奪われた。
また、近代化が遅れていたが、1973年に奈良 - 湊町間、1982年に名古屋 - 亀山間が電化された。
JR発足後は、加茂 - JR難波間はアーバンネットワークの一環として輸送の改善が図られた。
またJR東海も快速「みえ」を設定するなどして巻き返しを図っている。
1889年(明治22年)5月14日
大阪鉄道 (初代) 湊町 - 柏原間(10マイル10チェーン (単位)≒16.29km)が開業。
湊町駅(現在のJR難波駅)、天王寺駅、平野駅、八尾駅、柏原駅が開業。
1890年(明治23年)9月11日
柏原 - 亀瀬仮停車場間(3M58C≒5.99km)が延伸開業。
亀瀬仮停車場が開業。
12月27日
奈良 - 王寺間(9M44C≒15.37km)が開業。
奈良駅、郡山駅、法隆寺駅、王寺駅が開業。
1891年(明治24年)2月8日
王寺 - 稲葉山仮停車場間(1M30C≒2.21km)が延伸開業。
稲葉山仮停車場が開業。
稲葉山仮 - 亀瀬仮間は徒歩・人力車連絡。
1892年(明治25年)2月2日
亀瀬仮 - 稲葉山仮間(64C≒1.29km)が延伸開業し、湊町 - 奈良間が全通。
稲葉山仮停車場、亀瀬仮停車場廃止。
1894年(明治27年)1月29日
全線で3C(≒0.06km)短縮。
1899年(明治32年)2月28日
全線で7C(≒0.14km)短縮。
3月1日
今宮駅開業。
1900年(明治33年)6月6日
大阪鉄道が関西鉄道に路線を譲渡。
1896年(明治29年)4月18日
奈良鉄道 木津 - 奈良間(4M32C≒7.08km)が延伸開業し、京都駅 - 奈良間が全通。
1902年(明治35年)11月12日
営業距離の単位をマイル・チェーンからマイルのみに簡略化(4M32C→4.4M)。
1905年(明治38年)2月7日
奈良鉄道が関西鉄道に路線を譲渡。
1890年(明治23年)2月19日
関西鉄道 柘植駅開業(三雲駅 - 柘植間の開業に伴う)。
12月25日
柘植 - 四日市間(26M50C≒42.85km)が延伸開業。
関駅、亀山駅、河原田駅、四日市駅が開業。
四日市駅では、日本郵船の航路に接続した。
1892年(明治25年)2月6日
高宮駅(現在の加佐登駅)開業。
1894年(明治27年)7月5日
四日市 - 桑名臨時駅間(7M30C≒11.87km)が延伸開業。
富田駅、桑名仮停車場が開業。
1895年(明治28年)5月24日
名古屋 - 前ヶ須間(10M21C≒16.52km)、桑名仮 - 桑名間(64C≒1.29km)が開業。
蟹江駅、前ヶ須駅(現在の弥富駅)、桑名駅が開業。
桑名仮停車場廃止。
11月7日
弥富 - 桑名間(4M53C≒7.50km)が延伸開業し、名古屋 - 草津間が全通。
前ヶ須駅を弥富駅に改称。
1896年(明治29年)7月3日
名古屋 - 蟹江間に愛知駅が開業。
9月21日
加太駅開業。
1897年(明治30年)1月15日
支線として柘植 - 上野間(9M8C≒14.65km)が開業。
佐那具駅、上野駅(現在の伊賀上野駅)が開業。
11月11日
支線 上野 - 加茂間(16M26C≒26.27km)が延伸開業。
島ヶ原駅、大河原駅、笠置駅、加茂駅が開業。
1898年(明治31年)4月19日
支線 加茂 - 大仏間(5M35C≒8.75km)が開業。
大仏駅が開業。
名古屋 - 加茂間を本線、柘植 - 草津間を支線に変更。
11月18日
加茂 - 新木津間が延伸開業し、網島駅方面への路線(後の片町線)に接続。
名古屋 - 網島間が全通し、直通列車が運転開始。
1899年(明治32年)5月21日
支線 大仏 - 奈良間(57C≒1.15km)が延伸開業し、名古屋 - 奈良間が全通。
10月23日
加茂 - 奈良間が11C(≒0.22km)延長。
11月11日
長島駅開業。
1900年(明治33年)6月6日
大阪鉄道が関西鉄道に路線を譲渡。
名古屋 - 大仏 - 湊町間を本線、加茂 - 網島間を支線に変更。
9月1日
列車運行上の本線を名古屋 - 大仏 - 湊町間に変更。
1901年(明治34年)1月25日
全線で4C(≒0.08km)短縮。
1902年(明治35年)10月12日
営業距離の単位をマイル・チェーンからマイルのみに簡略化(名古屋 - 湊町間 106M67C→106.8M)。
1903年(明治36年)1月29日
天王寺 - 湊町間が複線化。
2月1日
高宮駅を加佐登駅に改称。
3月1日
支線 天王寺 - 博覧会間が開業。
博覧会駅が開業。
天王寺 - 今宮間にも博覧会付属乗降場を開設。
第五回博覧会歴史開催に伴う。
11月1日
支線 天王寺 - 博覧会間が廃止。
博覧会駅、博覧会付属乗降場廃止。
1905年(明治38年)2月7日
奈良鉄道が関西鉄道に路線を譲渡。
1907年(明治40年)7月1日
富田浜仮停車場開業(夏期のみ営業)。
8月21日
加茂 - 木津間(マイル設定なし)が開業。
加茂 - 大仏 - 奈良間、加茂 - 新木津間が休止。
大仏駅休止。
1907年(明治40年)10月1日
関西鉄道が国有化。
11月1日
加茂 - 木津間マイル設定(3.7M≒5.95km)。
加茂 - 大仏 - 奈良間(6.1M≒9.82km)、加茂 - 新木津間が正式に廃止。
1908年(明治41年)3月30日
柏原 - 天王寺間が複線化。
2010/10/07
郡山 - 法隆寺間に安堵信号所を開設。
11月5日
安堵信号所廃止。
1909年(明治42年)4月1日
志紀駅、加美駅、百済駅(初代)が開業。
6月1日
愛知駅を廃止し名古屋駅に統合。
10月12日
鉄道路線の名称制定、名古屋 - 奈良 - 湊町間が関西本線となる。
1910年(明治43年)12月1日
久宝寺駅開業。
1911年(明治44年)11月5日
王寺 - 柏原間に青谷信号所を開設。
1914年(大正3年)3月20日
木津 - 奈良間が複線化。
1915年(大正4年)2月13日
木津 - 奈良間に佐紀仮信号所を開設。
6月7日
佐紀仮信号所廃止。
1916年(大正5年)9月11日
上野駅を伊賀上野駅に改称。
1918年(大正7年)7月15日
名古屋 - 蟹江間に八田信号所を開設。
1920年(大正9年)8月25日
大和小泉駅開業。
12月21日
貨物支線 四日市 - 四日市港間(1.1M≒1.77km)が開業。
(貨)四日市港駅が開業。
1921年(大正10年)7月15日
新堂駅開業。
1922年(大正11年)4月1日
信号所を信号場に変更。
1923年(大正12年)12月15日
青谷信号場 - 柏原間が複線化。
1924年(大正13年)3月29日
王寺 - 青谷信号場間が複線化。
8月10日
木津 - 奈良間に都跡仮信号場(初代)を開設(廃止日不詳)。
1925年(大正14年)6月16日
郡山 - 大和小泉間が複線化。
8月26日
奈良 - 郡山間が複線化。
1926年(大正15年)1月10日
都跡仮信号場(2代目)を開設(廃止日不詳)。
4月30日
大和小泉 - 法隆寺間が複線化。
7月22日
法隆寺 - 王寺間が複線化。
1927年(昭和2年)4月19日
青谷信号場を駅に格上げし河内堅上駅が開業。
5月1日
桑名 - 朝日間に朝明信号場を開設。
6月1日
蟹江 - 弥富間に善太信号場を開設。
1928年(昭和3年)2月1日
八田信号場を駅に格上げし八田駅が開業。
3月1日
富田浜仮停車場を駅に格上げし富田浜駅開業。
4月1日
加太 - 柘植間に中在家信号場を開設。
7月1日
四日市 - 河原田間に日永信号場を、河原田 - 加佐登間に木田信号場を開設。
12月1日
貨物支線 今宮 - 浪速駅 - 大阪港駅 (国鉄)間(5.2M≒8.37km)が開業(後に大阪環状線に編入され、同線の貨物支線となる)。
1929年(昭和4年)2月1日
善太信号場を駅に格上げし永和駅開業。
5月20日
井田川駅開業。
1930年(昭和5年)4月1日
営業距離の単位をマイルからメートルに変更(名古屋 - 湊町間 108.8M→175.1km、四日市 - 四日市港間 1.1M→1.7km、今宮 - 大阪港間 5.2M→8.2km)。
1931年(昭和6年)7月7日
富田浜 - 四日市間に午起仮停車場が開業。
7月8日
加美 - 平野間に正覚寺信号場(初代)を開設。
1932年(昭和7年)1月27日
王寺 - 河内堅上間に亀ノ瀬信号場を開設。
2月1日
王寺 - 河内堅上間の亀ノ瀬トンネルが地滑りで変形したため使用不可能となり、同区間が不通となる。
2月20日
亀ノ瀬トンネルの東口に亀ノ瀬東口仮停車場(亀ノ瀬信号場から変更)、西口に亀ノ瀬西口仮停車場を開設。
王寺 - 亀ノ瀬東口間と亀ノ瀬西口間が運行再開、両仮停車場間は徒歩連絡となる。
6月1日
柏原駅南方900m、大阪電気軌道桜井線(現在の近鉄大阪線)安堂駅に隣接する箇所に柏原仮乗降場が設置され、同線と和歌山線(下田駅、現在の近鉄下田駅および香芝駅で接続)を用いて不通区間の代替輸送を開始。
8月1日
四日市 - 四日市港間改キロ (+0.8km)。
12月31日
不通だった王寺 - 河内堅上間を大和川対岸の新線に切り替えて単線で復旧。
途中に藤井信号場を開設。
1933年(昭和8年)1月1日
亀ノ瀬東口、亀ノ瀬西口仮停車場、柏原仮乗降場廃止。
11月20日
王寺 - 藤井信号場間が複線化。
1935年(昭和10年)12月30日
藤井信号場 - 河内堅上間が複線化。
藤井信号場廃止。
1938年(昭和13年)10月1日
八尾 - 久宝寺間に竜華操車場を開設。
1939年(昭和14年)10月15日
正覚寺信号場(初代)廃止。
1941年(昭和16年)7月25日
加美 - 平野間に正覚寺信号場(2代目)を開設。
1944年(昭和19年)6月1日
貨物支線 四日市 - 塩浜間 (3.3km) が開業。
(貨)塩浜駅が開業。
8月
奈良 - 王寺間が資材供出のため単線化。
1945年(昭和20年)11月25日
長島 - 桑名間に揖斐川仮信号場を開設。
1946年(昭和21年)5月1日
揖斐川仮信号場廃止。
1947年(昭和22年)3月15日
木津 - 奈良間に佐保信号場(初代)を開設。
10月
志紀駅休止。
1948年(昭和23年)8月30日
午起仮停車場廃止。
1949年(昭和24年)3月1日
木田信号場を格上げし鈴鹿駅(現在の河曲駅)が開業。
1950年(昭和25年)10月1日
東京 - 湊町・鳥羽駅間に夜行急行列車運転開始。
翌月「東海道本線優等列車沿革」と命名。
1951年(昭和26年)12月28日
月ヶ瀬口駅開業。
1952年(昭和27年)9月1日
貨物支線(阪和貨物線)八尾 - 竜華操車場 - 杉本町間 (11.3km) が開業。
1953年(昭和28年)11月11日
急行「大和」の鳥羽編成を「東海道本線優等列車沿革」として分離。
1954年(昭和29年)6月1日
富田浜 - 四日市間に、三岐鉄道の四日市駅直通列車のみ停車する午起駅が開業。
1956年(昭和31年)3月15日
貨物支線 浪速 - 大阪東港間 (3.0km) が開業。
9月27日
関 - 加太間で下り列車が崩壊した土砂に乗り上げ、客車が川に転落。
死者8名(旅客5名、職員3名)、負傷者3名。
11月17日
加茂 - 木津間、鹿背山トンネル経由から不動山トンネル経由に変更
11月20日
佐保信号場(初代)廃止。
1958年(昭和33年)11月1日
名古屋 - 湊町間の準急を「かすが (列車)」と命名。
1959年(昭和34年)7月15日
東京 - 新宮駅間に急行「紀伊 (列車)」を新設。
「伊勢」と関西本線内では併結運行を行う。
1961年(昭和36年)2月21日
法隆寺 - 王寺間が再複線化。
3月6日
郡山 - 法隆寺間が再複線化。
3月21日
奈良 - 郡山間が再複線化。
4月25日
貨物支線 今宮 - 浪速 - 大阪港間 (8.2km)、浪速 - 大阪東港間 (3.0km) が大阪環状線に編入。
10月11日
志紀駅が八尾方に0.2km移転し営業再開。
12月10日
正覚寺信号場(2代目)廃止。
1963年(昭和38年)4月1日
加美駅が平野方に0.3km移転。
9月10日
1945年ごろから休止中であった百済駅(初代)を廃止。
10月1日
貨物支線 平野 - 百済(2代目)間 (1.4km) が開業。
(貨)百済駅(2代目)が開業。
日永信号場を駅に格上げし南四日市駅開業。
1964年(昭和39年)10月1日
午起駅廃止。
11月24日
貨物支線 百済 - 百済市場間 (2.1km) が開業。
(貨)百済市場駅が開業。
1965年(昭和40年)3月1日
阪和貨物線 八尾 - 杉本町間が旅客営業開始。
名古屋 - 和歌山駅間に阪和貨物線経由で気動車特急「かすが (列車)」新設。
1966年(昭和41年)3月5日
準急「かすが」を急行に格上げ。
1967年(昭和42年)10月1日
特急「あすか」廃止。
1968年(昭和43年)3月25日
天王寺 - 新今宮間が複々線化。
大阪環状線と分離運転開始。
10月1日
急行「大和」・「伊勢」・「那智」を統合し、急行「紀伊 (列車)」新設。
1972年(昭和47年)3月15日
新今宮駅に停車開始。
急行「紀伊」の王寺・鳥羽編成廃止。
9月27日
朝明信号場 - 富田間が複線化。
1973年(昭和48年)7月10日
鈴鹿駅を河曲駅に改称。
9月20日
奈良 - 湊町間が電化。
10月1日
急行「かすが」を名古屋 - 奈良間の運転に短縮。
大阪環状線に直通する快速(大和路快速の前身)を運転開始。
1977年(昭和52年)1月31日
長島 - 桑名間が複線化。
1979年(昭和54年)8月1日
名古屋 - 八田間が電化(電化営業開始は1982年5月17日)。
1980年(昭和55年)3月3日
三郷駅開業。
3月24日
弥富 - 長島間が複線化。
1982年(昭和57年)5月17日
八田 - 亀山間が電化。
1983年(昭和58年)3月8日
亀山 - 木津間にCTCを導入。
8月8日
朝日駅開業。
朝明信号場が北へ2.1km移転。
1984年(昭和59年)2月1日
貨物支線 百済 - 百済市場間 (2.1km) が廃止。
8月31日
木津 - 奈良間に佐保信号場(2代目)を開設。
10月1日
(京都 -)木津 - 奈良間が電化。
1985年(昭和60年)3月14日
貨物支線 四日市 - 四日市港間 (2.5km) が廃止。
新今宮 - 湊町間の貨物営業廃止。
8月29日
高井田駅開業。
12月1日
平城山駅開業。
1986年(昭和61年)11月1日
竜華操車場を信号場に格下げ、竜華信号場開設。
1987年(昭和62年)4月1日
国鉄分割民営化により、名古屋 - 亀山間 (59.9km) を東海旅客鉄道が、亀山 - 湊町間 (115.2km)、八尾 - 竜華信号場 - 杉本町間 (11.3km) を西日本旅客鉄道が承継。
日本貨物鉄道が四日市 - 塩浜間 (3.3km)、平野 - 百済間 (1.4km) の第一種鉄道事業者、名古屋 - 亀山 (59.9km)、木津 - 新今宮間 (45.5km)、竜華信号場 - 杉本町間 (10.5km) の第二種鉄道事業者となる。
亀山 - 木津間の貨物営業廃止。
1988年(昭和63年)3月13日
加茂 - 木津間電化。
加茂 - 湊町間に大和路線の愛称使用開始。
加茂 - 大阪間の快速に「大和路快速」の愛称。
加茂・木津 - 湊町・大阪間で「やまとじライナー」運転開始。
1989年(平成元年)4月10日
「大和路快速」のJR西日本221系電車置き換え開始(7月完了)。
11月11日
東部市場前駅開業。
12月28日
湊町駅移転、改キロ (-0.2km)。
1990年(平成2年)3月10日
快速「みえ」運転開始。
6月1日
亀山 - 加茂間でワンマン運転開始。
1992年(平成4年)3月14日
特急「南紀」をキハ82系気動車からキハ85系気動車(ワイドビュー)に置き換え。
これによりキハ82系気動車による定期特急列車は全国から消滅。
1993年(平成5年)2月10日
王寺 - 湊町間でATS-P(トランスポンダ方式)使用開始。
7月24日
富田浜 - 四日市間が複線化。
8月1日
八田 - 蟹江間に春田信号場、永和 - 弥富間に白鳥信号場を開設。
快速「みえ」をキハ58・65系気動車からキハ75系気動車に置き換え。
1994年(平成6年)9月4日
湊町駅をJR難波駅に改称。
1996年(平成8年)3月22日
今宮駅高架化、JR難波駅地下化。
1997年(平成9年)7月28日
竜華信号場廃止、八尾駅に統合。
1998年(平成10年)9月28日
八田 - 春田信号場間に伏屋信号場開設。
2001年(平成13年)1月14日
名古屋 - 亀山間にCTCを導入。
3月3日
春田信号場を駅に格上げし春田駅開業。
名古屋 - 亀山間でワンマン運転開始。
2002年(平成14年)4月7日
八田駅高架化、名古屋方に0.5km移転。
2003年(平成15年)4月1日
日本貨物鉄道の第二種鉄道事業(木津 - 平野間 40.6km、旧・竜華信号場 - 杉本町間 10.5km)廃止。
2004年(平成16年)6月30日
阪和貨物線(八尾 - 杉本町間)休止。
2005年(平成17年)1月30日
伏屋信号場廃止。
2006年(平成18年)3月18日
急行「かすが」廃止。
中在家信号場での列車交換廃止。
4月1日
日本貨物鉄道の第二種鉄道事業(平野 - 新今宮間 4.9km)廃止。
12月16日
加茂 - 王寺間でATS-P(拠点P方式)使用開始。
2008年(平成20年)6月29日
奈良駅関西本線ホーム高架化。
2009年(平成21年)3月31日
阪和貨物線(八尾 - 杉本町間 11.3km)廃止。
名古屋 - 亀山間
名古屋 - 四日市間は近鉄名古屋線と競合しており、日本国有鉄道時代から設定していた四日市までの特定区間運賃に加え、JR東海となってから快速「みえ」を運転開始し巻き返しを図っている。
また一部の区間ではあるが複線化されているほか、単線区間も名古屋から河原田までは、ほぼ全線に亘り用地が確保されている。
駅間の長いところはその用地を利用した信号場がいくつか増設されている。
さらに、昼間においては、快速みえと停車駅同様の名古屋四日市間の快速列車が2009年3月のダイヤ改正で設定された。
その結果、同区間では快速列車が1時間に2本運行されている。
名古屋駅を出発し東海道本線などと離れて右に曲がって行く。
その進行右側には名古屋車両区が広がるが、最初に関西鉄道が開業した「愛知駅」駅もここにあった。
一方左側にはかつて笹島駅があり、その機能を移転した名古屋貨物ターミナル駅への貨物線が八田の手前で分岐する。
この貨物線は名古屋臨海高速鉄道(名古屋臨海高速鉄道西名古屋港線)も利用している。
高架が連続して八田駅に着く。
近くに近鉄名古屋線の近鉄八田駅や名古屋市営地下鉄東山線の八田駅もある。
築堤となって庄内川を渡る。
続いて新川 (愛知県名古屋市)を渡り、国道302号をオーバークロスし春田駅に。
市営住宅のあるあたりを過ぎ、福田川を渡り、蟹江町に入って蟹江駅。
日光川を渡り、愛西市に入って永和駅。
住宅や水田の中を走り弥富市に入る。
弥富駅は名鉄尾西線と接続するがそれらしい雰囲気はなく、駅周辺も民家が迫る。
すぐ南にはモダンな駅舎を持つ近鉄の近鉄弥富駅がある。
木曽川を渡り愛知県から三重県に入る。
中州にあり、付近に近鉄の近鉄長島駅がある長島駅を過ぎ、長良川と揖斐川が一帯となった大河を近鉄と平行して、桑名駅に着く手前で近鉄線をアンダークロスする。
桑名は近鉄名古屋線のほか、養老鉄道や三岐鉄道北勢線と接続する。
駅ビルや広場の先にバスセンターやホテル、スーパーなどが建つ桑名市の中心駅である。
反対の西口は住宅が迫る。
三岐北勢線をアンダークロスし、近鉄名古屋線と併走しながらカーブして朝日町(三重県)に入り、東芝の工場の手前で近鉄線と離れ朝日駅に。
伊勢湾岸自動車道をアンダークロスする手前で四日市市に入り、三岐鉄道三岐線と近鉄線をアンダークロスし富田駅 (三重県)に着く。
富田は広大な貨物ターミナル駅で貨車が何両も留置されており背後に四日市のコンビナートから吐き出す煙が空高く上がっている。
この駅は三岐鉄道の基地で東口を出た先に本社ビルがある。
しかし、付近は駅前とは思えない雰囲気で国道1号の先に大規模スーパーがあり広大な駐車場が広がる。
反対の西口は住宅街が広がる。
ここから先は四日市のコンビナートの一帯を走る。
大小の工場や関連の事業所などが広がり所々緑地などもある。
国道1号線と国道23号と併走しながら富田浜駅。
そして四日市駅に着く。
市名を冠した駅であるが、四日市市の中心駅は実質的には近鉄の近鉄四日市駅に移っている。
駅舎は横に長く、バス乗り場のある駅前広場からは、近鉄四日市駅方面へ広い道路が真っ直ぐ延びている。
途中に市役所や裁判所などもある。
ここも貨物列車が留置され貨物線が分岐する。
赤くまだらに塗り分けられた煙突から白煙がたなびく。
次の南四日市駅を過ぎ、工業地帯を抜けると河原田駅に着く。
ここは伊勢鉄道伊勢線と接続し、途中で単線が上下線に別れその間を走って駅に着く。
伊勢鉄道のホームは高台にあり、乗り換えは関西本線のホーム経由で乗り換えとなる。
名古屋発の特急「南紀 (列車)」や快速「みえ (列車)」などの優等列車はこの駅から伊勢鉄道へ乗り入れ、津方面に向かう。
四日市あたりまではまだらに複線であったが、このあたりから単線になる。
周辺は田園風景となり民家も少なく、鈴鹿山脈の南端にあたり小高い山の裾を廻る。
鈴鹿市に入り、すぐ南を線路に沿って鈴鹿川が流れており水面が現れる。
河曲駅を過ぎ、次の加佐登駅に着く。
駅の北側斜面に民家が密集し南にコンクリート工場がある。
亀山市に入り、近くに団地のある井田川駅を過ぎ、堤防に遮られて水面が見えなくなる。
水田などの広がる中を行くと左手から紀勢本線が近づき合流して亀山に着く。
駅前は雑居ビルが建つものの中心市街ははっきりしない。
丘陵地にあり南は鈴鹿川ですぐ北は台地になり、かつての亀山城の櫓が僅かに残る。
亀山はJR東海の管轄駅であり、JR西日本区間との境界駅である。
3面5線の構造で、紀勢本線と接続している。
亀山 - 加茂間
この区間は非電化である。
現在では単行や2両編成のキハ120系が走るのみである。
しかし、国鉄時代は長大編成の列車が走っていたため、各駅ともホームや行き違い施設の有効長が非常に長い。
亀山からは、国道1号線と併走しながら関駅 (三重県) に着く。
続いて国道25号と併走しながら走り加太駅 (三重県)に着く。
この先、加太 - 柘植間には加太越えと呼ばれる急勾配の難所があり、この区間の25勾配上にある中在家信号場はスイッチバックの信号場である。
伊賀市に入り、柘植駅では草津線が分岐している。
もともと関西鉄道が草津から柘植へ向かって線路を敷いてきたため、亀山方向から来ると草津線が直線で、関西本線が左へ分岐する。
柘植にはかつて加太越えの蒸気機関車の折り返しなどのために転車台や給水塔もあった。
現在はすべて撤去されている。
柘植を出ると周囲は開け、国道25号線と併走して伊賀盆地を走り、新堂駅となる。
以前は2面3線の構造だったが、1面2線の単純な配線に変更されている。
しばらく真っ直ぐ西に向いて走り2面2線の佐那具駅を過ぎると、伊賀上野駅となる。
伊賀上野は2面3線の構造で、下りホームから近鉄伊賀線から転換した伊賀鉄道伊賀線が発着している。
伊賀市の市街地を通り、近鉄大阪線の伊賀神戸駅まで結んでいる。
忍者で有名な伊賀市の中心は伊賀鉄道の上野市駅付近にある。
しばらく平地部分を走り、2面2線の島ヶ原駅からは国道163号と併走し、山間地へと入る。
車窓から木津川 (京都府)の渓谷美を見ることができるが、その反面、大雨が降るとしばしば不通となり、保安上のネックにもなっている。
京都府に入り、2面2線の月ヶ瀬口駅となる。
南山城村役場に近い大河原駅 (京都府)を過ぎ、笠置駅は桜と渓谷美で有名である。
次の加茂駅 (京都府)は2面3線の橋上駅で、天王寺・大阪方面への大和路快速と接続している。
中線は両側をホームに挟まれており、亀山方面からの気動車は基本的に中線から発着して、大阪方面への電車とホーム上で乗り換えられるようにしている。
加茂 - JR難波間
加茂以西は電化区間となり、不動山トンネルを抜け木津駅 (京都府)に至る。
加茂 - 奈良間では関西鉄道が先に大仏駅経由で開業していたが、のちに木津付近で加茂から木津への短絡線が完成することにより大仏経由の路線は廃止となった。
現在はその廃線跡があるほか、不動山トンネル付近では、地震によって線路が付け替えられた旧線跡がある。
木津では奈良線と片町線が分岐していて、奈良・京都・京橋方向に線路がつながり、交通の要衝である。
しかし、利用客はさほど多くはない。
木津を出ると京奈和自動車道の木津インターチェンジや国道24号などを右に見ながら進む。
奈良県に入ると平城山駅、すぐ先に奈良電車区への入出区線が分岐している佐保信号場となる。
奈良市北部の新興地域を行くこのあたりは、新しい住宅地と古墳群が同居している。
このような景色を過ぎ、桜井線が分岐している奈良駅に着く。
付近は高架化が進められている。
寺社風建築で有名な旧奈良駅舎は撤去も検討されたが、現地付近に保存されることとなった。
奈良への観光や官公庁などへのアクセス面においては近鉄の近鉄奈良駅がより優れており、運賃・所要時間・本数面において対京都・大阪の競争力も近鉄より低いため駅の利用は芳しくない。
また、県庁所在地のJR線のターミナル駅でありながら、特急などの優等列車の発着はない。
奈良 - 王寺間では、斑鳩の法隆寺付近を通る。
奈良を出て、しばらく奈良盆地の広大な景色の中を進むと2面2線の単純な配線の郡山駅 (奈良県)に着く。
大和郡山市役所や郡山城跡は近鉄の近鉄郡山駅が近い。
住宅地と田畑と金魚の飼育のための池を見ながら、近鉄橿原線をアンダークロスして進むと大和小泉駅。
次の法隆寺駅は斑鳩町の中心駅で、2面2線の橋上駅となっている。
駅名となっている法隆寺はこの駅からかなり離れたところに位置する。
法隆寺を出ると奈良盆地南部の田畑の中を真っ直ぐに走る。
大和川を渡って、近鉄田原本線をアンダークロスすると、和歌山線が左手から合流する。
国道25号線をアンダークロスして王寺駅となる。
この駅は和歌山線のほか近鉄生駒線、近鉄田原本線が集結する奈良県西部の交通の要衝となっている。
王寺 - 柏原間は大和川に沿って走る。
この区間には地すべりの難所があり、経路変更が繰り返された。
柏原からは大阪平野を走る。
周囲はすっかり都市化し、住宅やマンションの立ち並ぶ車窓となった。
王寺を出て、大和川を渡ると三郷駅 (奈良県)。
この先、国道25号線も併走して大阪府に入り、2面2線の河内堅上駅となる。
河内堅上を出て右左にカーブして大和川を渡り、高井田駅 (大阪府柏原市)。
高井田を出ると右手には山が迫り、近鉄大阪線をアンダークロスする。
左手には国道25号線と大和川が並行する。
しばらくこの隘路を進むと、近鉄線が右に分かれていき、柏原駅 (大阪府)となる。
2面4線の構造で近鉄道明寺線も発着している。
柏原を出ると八尾市に入り、国道170号(大阪外環状線)をアンダークロスするとすぐに志紀駅となる。
その後線路はほぼ真っ直ぐ進み、2面2線の単純な構造の八尾駅となる。
八尾市の中心駅ではあるが、市街地からはやや外れている。
約1kmほど北には近鉄の近鉄八尾駅があり、周辺には銀行の支店や商店街、さらに大型商業施設があるため、そちらが栄えている。
八尾を出ると左手に広大な竜華操車場跡を見ながら城東貨物線を旅客線として転用したおおさか東線と接続する久宝寺駅となる。
かつては上下線の間に竜華操車場があり、上下線ホームがかなり離れて配置されていた。
現在は区画整理されて跡形はあまりわからなくなってきている。
この駅は2面4線の橋上舎駅で、通常普通はここで快速と緩急接続を行っている。
近畿自動車道と大阪中央環状線がアンダークロスしたあたりで大阪市平野区に入る。
加美駅の手前で、おおさか東線が右手に分かれ、そして左手には阪和貨物線が分かれていた。
阪和貨物線は貨物輸送廃止後、臨時列車と117系による錆取り列車が1日1往復走るだけだった。
しかし、2004年7月からはそれも休止され、2009年3月に正式に廃止された。
加美を出て、右手から城東貨物線の単線が合流する。
ここから日本貨物鉄道(JR貨物)の百済駅の間は貨物列車が走る。
配線上、城東貨物線は関西本線の上り線(名古屋方面)にだけ線路がつながっているため、貨物列車は上下列車とも関西本線の上り線を走る。
平野川を渡ると平野駅 (JR西日本)。
平野はホーム2面4線の待避可能駅である。
しかし、構内配線は変形しており、下り線(JR難波方面)の通過線にはホームがない。
平野を過ぎ、国道479号(内環状線)をオーバークロスし、百済駅を見ながら地上から高架へ上がっていく。
今里筋をオーバークロスすると東部市場前駅。
近鉄南大阪線の高架を望みながら進み、高架の阪和線をアンダークロスし、大阪環状線が右から合流すると天王寺駅に到着する。
天王寺は大阪環状線、阪和線と接続するほか、大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄御堂筋線と大阪市営地下鉄谷町線そして、あびこ筋を挟んで南側には近鉄南大阪線と阪堺電気軌道上町線もあり、日本国内有数の一大ターミナルとなっている。
天王寺 - 今宮間は大阪環状線と並行している。
今宮 - JR難波間は地下線となっている。
天王寺を出ると、阪神高速道路をアンダークロスして阪堺電気軌道阪堺線と堺筋をオーバークロスして新今宮駅。
この駅では南海本線と阪堺電気軌道とも連絡しており、南海線との乗り換えはJR難波寄りの階段を上がって改札を出ればすぐに南海の改札がある。
次の今宮駅は関西本線・大阪環状線ともに高架化され、大阪環状線にも今宮駅ができ、ここでも乗り換えることができるようになった。
関西本線下りホームと大阪環状線外回りホームとは同一ホームで乗り換えが可できる。
また、下りホームの頭上に大阪環状線の内回りホームがある。
今宮を出ると右にカーブしながら地上から地下になり、終着駅・JR難波駅に着く。
JR難波はかつて「湊町」という駅名だったが、1994年に改称され、1996年に地下化された。
駅は2面4線の構造になっている。
この駅では大阪市営地下鉄大阪市営地下鉄千日前線や御堂筋線・大阪市営地下鉄四つ橋線、近畿日本鉄道、阪神電気鉄道、南海電気鉄道と連絡している。
しかし、各線とも遠く、一番近い地下鉄四つ橋線でも乗り換えは便利とはいえない。
駅の直上は大阪シティエアターミナルがあり、大阪国際空港や関西国際空港へのリムジンバスや各地への高速バスのターミナルとして機能している。
また駅周辺では超高層マンションが建ち並び、再開発が急速に進展している。
阪和貨物線
かつて関西本線と阪和線を結ぶ連絡線として通称「阪和貨物線」「阪和連絡線」と呼ばれる八尾駅 - 杉本町駅間の支線があり、JR西日本の旅客営業キロ11.3kmが設定されていた(八尾 - 久宝寺間は本線と重複で実際は久宝寺 - 加美間から分岐)。
この連絡線を経由して臨時列車や団体専用列車が運転された。
また、国鉄時代の1965年から1967年までには定期列車として名古屋 - 東和歌山(現・和歌山)間を結ぶ特急「かすが (列車)」が設定されていたこともあった。
しかし、本来の用途は貨物線であったため、前述の通称がある。
一時は杉本町から先の延伸計画もあり、北島に操車場 (鉄道)、さらに住之江から大阪港と堺市大浜への貨客線の建設計画(阪和貨物線の旅客線化を含む)もあったが、国鉄の財政難のため実現しなかった。
JR移行後はもっぱら南海電気鉄道向け車両の甲種輸送に使用されていた。
甲種輸送の性格上、路線の使用頻度は低かったが、線路保守のために錆取り列車が王寺 - 鳳駅間で運転されていた。
納入ルートが変更されるとJR貨物による免許は2003年4月1日に廃止となった。
その後もJR西日本によって路線は保持されたものの、国土交通省による大和川の改修事業やおおさか東線建設工事の支障になることなどを理由に2004年6月末で休止され、関西本線からの接続部が撤去された。
結局、2008年3月に天王寺駅構内の阪和線と大和路線を結ぶ構内短絡線が増設されたことにより使用されなくなることから、2008年11月17日にJR西日本が第1種鉄道事業の廃止届出を行った。
その後廃止日の繰り上げが認められたため、2009年3月31日付で廃止となった。
駅一覧
(貨)は貨物専用駅、それ以外の駅で◆・◇を付した駅は貨物取扱駅を表す(◇は定期貨物列車の発着なし)。
東海旅客鉄道
ここではJR東海の管轄である名古屋駅 - 亀山駅間の駅名のみ記す。
営業キロ・接続路線・停車駅などの詳細についてはJR東海名古屋地区各線の運行形態関西本線(名古屋駅 - 亀山駅間)を参照のこと。
名古屋駅◇ - (笹島信号場) - 八田駅 - 春田駅 - 蟹江駅 - 永和駅 - (白鳥信号場) - 弥富駅 - 長島駅 - 桑名駅 - (朝明信号場) - 朝日駅 - 富田駅 (三重県) - 富田浜駅 - 四日市駅◆ - 南四日市駅◆ - 河原田駅 - 河曲駅 - 加佐登駅 - 井田川駅 - 亀山駅 (三重県)
亀山駅 - 加茂駅間
この区間では普通列車のみの運転(全駅に停車)。
中在家信号場を除く全駅で列車交換可能。
加茂駅 - JR難波駅間
ここでは駅名のみを記す。
営業キロ・停車駅・接続路線などの詳細については大和路線駅一覧を参照のこと。
加茂駅 (京都府) - 木津駅 (京都府) - 平城山駅 - (佐保信号場) - 奈良駅 - 郡山駅 (奈良県) - 大和小泉駅 - 法隆寺駅 - 王寺駅 - 三郷駅 (奈良県) - 河内堅上駅 - 高井田駅 (大阪府柏原市) - 柏原駅 (大阪府) - 志紀駅 - 八尾駅 - 久宝寺駅 - 加美駅 - 平野駅 (JR西日本) - 東部市場前駅 - 天王寺駅 - 新今宮駅 - 今宮駅 - JR難波駅
亀山 - 加茂間の電化促進同盟
閑散区間である亀山駅 (三重県) - 加茂駅 (京都府)の間を電化し、大阪や名古屋まで電車を直通させてはどうかという声があり、沿線の自治体は「関西本線奈良亀山間複線電化促進同盟」などの団体を結成してこの区間の電化を要望している。
関西本線複線電化促進連盟ホームページ
電化によって通勤や移動が便利になり、笠置駅や伊賀上野駅、関駅 (三重県)では新たな観光需要が生まれることも期待されている。
沿線の自治体には電化費用捻出のための募金箱も設置されている。
一方で、この区間は通行料不要の名阪国道も並行しており、この区間にある伊賀市からは伊賀鉄道伊賀線や大阪・名古屋への高速バスも走っていることから、あえて地元が資金を負担してまで電化する理由を見いだせないのではないか、との意見も多い。
加えて、同区間の電化に対する関心はきわめて薄い。
また、観光需要を見いだせるとされる駅の周辺も歴史に縁があったり古い町並みが残ってはいるが、長浜市の黒壁スクエアのような観光地としての整備が不十分で、現状のままでは電化しても新たな観光需要は生まれない、とされる(長浜が成功したのも観光地としての徹底した整備が主因であり、京阪神からの新快速が直通したことは間接的影響に過ぎない)。