京奈和自動車道 (Keinawa Jidoshado Expressway)
京奈和自動車道(けいなわじどうしゃどう、英称 KEINAWA EXPRESSWAY)は、京都府京都市を起点とし、奈良県を北から西に抜けて和歌山県和歌山市に至る延長約120キロメートルの国土交通大臣指定に基づく高規格幹線道路(一般国道の自動車専用道路)。
一般国道国道24号のバイパス道路事業で建設される。
1993年4月1日の一般国道改正では高規格幹線道路(一般国道のバイパス事業で建設される設計速度80~100キロメートル毎時の自動車専用道路)の国道番号がいくつか制定された(例:一般国道国道468号首都圏中央連絡自動車道、一般国道国道478号京都縦貫自動車道など)が、京奈和道には400番台の独自番号は割り当てられなかった。
一般国道24号京奈和自動車道は新名神高速道路、山陽自動車道、神戸淡路鳴門自動車道、紀淡連絡道路とともに近畿地方の外側を結んだ環状道路として、各都市の連絡を強化し、1周約300kmの関西圏の大環状道路を形成する。
8つの道路が一本の路線となるため、計8路線についてまとめて記す。
京奈北道路
現在、京都市~城陽市の京奈北道路区間については城陽市を東西に通る高速自動車国道の新名神高速道路の整備建設計画があり、また西側に2003年に開通した第二京阪道路が並行しているため、計画区間である。
同区間は大久保バイパスで接続されているほか、2016年度の完成予定で城陽ジャンクションから新名神高速道路を経由して第二京阪道路八幡ジャンクションへ乗り継ぐ形態で代替されることになる。
現状では、奈良県方面から京都市へは京奈和道の田辺西インターチェンジから国道307号~大阪府道17号枚方高槻線に乗り継いで枚方東インターチェンジから第二京阪道路へが速い。
2008年1月に阪神高速道路8号京都線が開通したため、奈良県方面から田辺西IC、枚方東IC経由で第二京阪道路への乗り継ぎ利用が増えると予測される。
京奈道路
起点:城陽市寺田
終点:木津川市市坂
延長:17.0km
道路構造令:第1種第3級
設計速度:80km/h
車線数:4車線(暫定2車線)
道路幅員:22.0メートル
車線幅員:3.5m
京奈和自動車道初の全線開通区間で、ほぼ全線にわたって片町線・近鉄京都線と並行し、これらの鉄道より西側(山より)を走っている。
現在は「京奈和自動車道」という場合はこの区間を指すことが多い。
関西文化学術研究都市の東部を南北に走り、終点の木津インターチェンジ (京都府)では国道24号奈良バイパスに接続している。
京奈和自動車道京奈北道路で述べたように、現在奈良方面⇔京都市街間は、京奈道路の木津IC~田辺西ICと第二京阪道路を利用するのが最速ルートとなる。
大和北道路
起点:奈良県奈良市歌姫町
終点:奈良県大和郡山市横田町
延長:約12.4km
規格:第1種第3級
設計速度:80km/h
車線数:4車線
道路幅員:-
車線幅員:3.5m
大和北道路の区間については、国際連合教育科学文化機関の世界遺産でもある平城宮跡の地下を通過する計画案であったが、地下水によって保存されている木簡に深刻な影響が出ることが懸念され、平城宮跡直下をトンネルで建設する案は白紙となった。
2005年9月初旬、国土交通省はルートを平城宮跡の約1km東側にずらすという最終案を固めた。
最終案では、奈良市平城ニュータウン付近から新大宮駅付近を通過して奈良市八条まで至る約5kmをトンネルにすることが提示されており、高架道路ではなくトンネルにすることで景観に配慮した形態となっている。
しかしトンネルの出入り口では工法上、掘り割りによって地下水脈を分断する可能性が指摘される。
並行するトンネル同士は規定の間隔が必要になるため、北行きのトンネルはウワナベ古墳の濠の直下もしくは水際に来ることになり、タンクローリーの通行を禁じる制限を有する水面下トンネルになるとされる。
また排気ガスをトンネル両端から集中して排出することになるため、周辺の住宅地や観光資源、文化財へ与える影響も無視できない。
北の換気塔の高さは風致地区(第一種)内の規制に合わせた8mになるが、付近の住宅地は換気塔よりも高いため排煙をそのまま受ける可能性が示唆される。
南の換気塔の高さは30m、大安寺のすぐ西とされている(付近の高さ規制は15m)。
八条付近(大安寺)は未発掘地域が多く、木簡も多数埋蔵している可能性が指摘される。
ちなみにトンネル案の推定工費は3100億円 (通貨)と発表されている。
なお有識者委員は複数の別案も提示しており、上記問題を回避した案の工費は1600億円と試算している。
大和御所道路
起点:奈良県大和郡山市伊豆七条町
終点:奈良県五條市居傳町
延長:27.2km
規格:第1種第2級(専用部)、第3種第2級(一般部)
設計速度:100km/h(専用部)、60km/h(一般部)
車線数:4車線
道路幅員
専用部:22.0m
一般部:38.0m(全幅)
車線幅員
専用部:3.50m
一般部:3.25m
奈良県の大和郡山市から五條市に至る、建設中の区間(全長約27km)である。
大和郡山ジャンクション~橿原大和高田ジャンクション間は国道24号橿原バイパスと並行する。
奈良県内では2004年3月30日に橿原市曽我町~新堂町間の一般部(平面部)1.4kmが初めて開通。
(その北5.7kmは橿原バイパスとして開通済)
2006年4月15日に郡山南インターチェンジ~橿原北インターチェンジ間 (7.8km)が開通。
なおこの開通により京奈道路木津インターチェンジから橿原市内まで南北に4車線の道路が開通することとなった。
五條道路
起点:奈良県五條市居傳町
終点:奈良県五條市畑田町
延長:7.9km
規格:第1種第2級
設計速度:100km/h
車線数:4車線(暫定2車線)
道路幅員:22.0m
車線幅員:3.5m
奈良県の五條市から和歌山県境にかけて(全長約8km)。
2006年に五條北インターチェンジ~奈良和歌山県境が開通。
橋本道路
起点:和歌山県橋本市隅田町真土
終点:和歌山県橋本市高野口町大野
延長:11.3km
規格:第1種第2級
設計速度:100km/h
車線数:4車線(暫定2車線)
規制速度:60km/h(IC部 40km/h)
和歌山県の橋本市内(全長約11km)。
橋本インターチェンジ~高野口インターチェンジ間(2006年4月27日に開通)と、奈良和歌山県境~橋本東インターチェンジ間(2006年6月17日に開通)。
また、橋本道路の橋本東IC~橋本ICも2006年内に開通の予定であったが、2002(平成14)年に完成した垂井高架橋にひび割れが多数発見され、国土交通省は橋桁(7径間連続)の取り壊しと再築を決定したが、施工業者の補修と効果監視の新提案が承認され、同区間は2007年8月2日に開通した。
紀北東道路
起点:和歌山県橋本市高野口町大野
終点:和歌山県紀の川市神領
延長:16.9km
規格:第1種第2級
設計速度:100km/h
車線数:4車線 (暫定2車線)
和歌山県の橋本市から紀の川市に至る(全長約17km)。
現在のところ、供用区間はない。
紀北西道路
起点:和歌山県紀の川市神領
終点:和歌山県和歌山市弘西
延長:12.2km
規格:第1種第2級
設計速度:100km/h
車線数:4車線 (暫定2車線)
和歌山県の紀の川市から和歌山市に至る(全長約12km)。
現在のところ、供用区間はない。
インターチェンジなど
上側が起点側、下側が終点側である。
(数字)は他路線の番号、
<数字>は予定番号を表す。
略字は次の項目を表す。
JCT:ジャンクション、IC:インターチェンジ、BR:橋。
未開通区間のJCT・IC名は全て仮称である。
接続路線などの特記がないものは、市町村道である。
平成18年度末より設置工事中だったETCレーンは、平成20年3月31日より供用が開始された。
レーンが設置されたのは田辺西料金所の木津方面入口、精華下狛料金所の城陽方面入口、木津料金所および本線料金所であり、それぞれ1レーンのみである。
これら以外の料金所は従来通り、係員がいるレーンでは係員にETCカードを手渡しし、料金自動収受機が設置してあるレーンでは収受機にETCカードを挿入する形での利用となる。
城陽IC~田辺北ICの新木津川橋は案内道路標識は緑色だが自動車専用道路ではないため自動車専用道路の標識は設置されていない。
国道24号新観月橋(京都市伏見区)や国道176号北行十三バイパス(大阪市北区 (大阪市)・淀川区)と同様に駐停車禁止の標識があり、原動機付自転車専用のレーンが設けられており、田辺北ICには原付用の料金所がある。
また、橋の両端には歩行者専用道路、自転車専用道路が合わせて2本ずつ併設され、田辺北ICに自転車用の料金所がある。
原付、自転車の通行料金は10円で、無人の料金箱に入れるようになっており、利用者の良心に任されている。
通過地域は、全線を国道24号に沿う/国道24号 + 西九条佐保線に沿うの2案が推奨された。
有料・無料区間
有料道路区間(西日本高速道路管理)
城陽IC~木津IC(京奈道路)
無料区間(国土交通省管理)
郡山南IC~橿原北IC(大和御所道路)
五條北IC~高野口IC(五條道路・橋本道路)
開通・予定
1973年(昭和48年)4月10日:大和御所道路「大和区間」・橿原バイパスとして都市計画決定
1973年(昭和48年)4月16日:五條道路・「五條バイパス」として事業着手
1987年(昭和62年)2月17日:五條バイパス都市計画決定
1987年度:橿原バイパス・高規格幹線道路指定
1988年(昭和63年)度:五條バイパス・高規格幹線道路京奈和自動車道「五條道路」に位置付け
1988年(昭和63年)10月5日:京奈道路・城陽IC~田辺西IC開通。
1989年(平成元年)度:橋本道路:事業化
1989年4月:橋本道路・都市計画決定
1990年(平成2年)度:五條道路工事着手
1991年(平成3年)度:橋本道路・用地買収に着手
1991年7月19日:大和御所道路・都市計画決定
1991年(平成3年)12月21日:京奈道路・田辺西IC~精華下狛IC開通。
1992年度:大和御所道路「御所区間」「大和区間」事業化。
大和区間用地買収着手
1993年(平成5年)度:紀北東道路・事業化
1993年(平成5年)3月25日:京奈道路・精華下狛IC~山田川IC開通。
1994年度:大和御所道路「大和区間」工事着手
1997年度:紀北西道路・事業化
1998年度:大和御所道路「御所区間」用地買収着手。
橋本道路・着工
1998年8月:紀北東道路・都市計画決定
1999年12月:紀北西道路・都市計画決定
2000年(平成12年)4月16日:京奈道路・山田川IC~木津IC開通し全通
2002年度:紀北東道路・用地買収に着手
2004年(平成16年)3月20日:大和御所道路・橿原市曽我町(国道24号)~同市新堂町(国道165号大和高田バイパス)間の一般部(平面部分)開通。
2006年(平成18年)4月15日:大和御所道路・三宅ICと田原本ICを除いて郡山南IC~橿原北IC開通、西名阪自動車道郡山インターチェンジ (奈良県)~郡山南IC間の平面部分開通。
2006年(平成18年)4月22日:五條道路・五條北IC-五條IC開通(暫定2車線)
2006年(平成18年)4月27日:橋本道路・橋本IC~高野口IC開通。
2006年(平成18年)6月17日:五條道路・橋本道路・五條IC-(奈良和歌山県境)-橋本東IC開通(暫定2車線)これにより五條道路は全通。
2007年(平成19年)3月25日:紀北東道路・高野口IC~かつらぎIC間着工
2007年(平成19年)8月2日:橋本道路・橋本東IC~橋本IC間開通し全通
交通量
2005年度(平成17年度道路交通センサスより)平日24時間交通量(台)
城陽IC~田辺北IC:26,661
田辺北IC~田辺西IC:16,423
田辺西IC~精華下狛IC:16,100
精華下狛IC~精華学研IC:15,091
精華学研IC~山田川IC:14,778
山田川IC~木津IC:9,945
橿原市土橋町:29,618(一般部)