伏見稲荷大社 (Fushimi Inari Taisha Shrine)
伏見稲荷大社(ふしみいなりたいしゃ)は京都市伏見区にある神社である。
稲荷神を祀る全国約4万社の稲荷神の総本宮である。
稲荷山の麓に本殿があり、稲荷山全体を神域とする。
式内社(名神大)、二十二社の上七社の一社で、旧社格は官幣大社。
ウカノミタマ(うかのみたまのおおかみ)を主祭神とし、佐田彦大神、大宮能売大神、田中大神、四大神を配祀する。
稲荷神が農業の神であるために、五穀豊穰・商売繁盛・交通安全といったご利益がある。
2008年の初詣(正月三が日)の参拝者数は約269万人で、関西の社寺では最も多かった。
(警察庁発表による)
歴史
711年(和銅4年)2月壬午の日に、伊侶具秦公(はたのきみのいろく)が勅命を受けて伊奈利山三ヶ峯(稲荷山)に三柱の神を祀ったことに始まる。
山城国風土記逸文には伊侶具秦公が稲荷神を祀ることになった経緯が書かれている。
秦氏にゆかり深い神社である。
延喜式神名帳には「稲荷神社三座」と記載され、名神大社に列し、月次・新甞の幣帛を受けると書かれている。
1871年(明治4年)には近代社格制度のもとで官幣大社に列格するとともに、正式社名を「稲荷神社」とし、「官幣大社稲荷神社」となったが、戦後の1946年に神社本庁とは独立した単立宗教法人となり、「伏見稲荷大社」と改称した。
これは、神社本庁が伊勢神宮を本宗とするとしているが、伏見稲荷としてはそれを受け入れるわけにいかないという理由である。
神社本庁とは「喧嘩別れ」したわけではなく、関係は良好である。
社家には学者が多く、国学者の荷田春満も当社の社家出身である。
境内には荷田春満の旧宅が保存されており、隣設して荷田春満を祭神とする東丸神社がある(元は摂末社であったが、現在は独立した神社)。
社殿
現在の本殿は、応仁の乱で焼失した後に明応8年(1499年)に再建されたもので、国の重要文化財に指定されている。
稲荷山には信者から奉納された約一万基の鳥居があり、特に千本鳥居は名所となっている。
鳥居を奉納する習わしは江戸時代に始まった。
その他
無数の石碑(その数、一万基、あるいはそれ以上とも言われる)が存在し、「お塚」と呼ばれている。
各石碑には「白狐大神」や「白龍大神」などといった神名が記されている。
参拝者の中には、石碑の前にひざまづいて「般若心経」などを唱えている人もおり、日本で神仏分離が行われる前の信仰(→神仏習合)が今でも保たれているのを見ることができる。
交通
西日本旅客鉄道奈良線:稲荷駅(京都駅から普通列車に乗り換え。
所要時間は約5分。
正月を除いて快速列車は停車しない)
京阪電気鉄道京阪本線:伏見稲荷駅