天授庵 (Tenju-an Temple)
天授庵(てんじゅあん)は京都市左京区にある臨済宗南禅寺派大本山・南禅寺の塔頭である。
歴史
暦応2年(1339年)に虎関師錬(こかんしれん)が南禅寺を開山した無関普門の塔所(墓所)として建立。
戦国時代には衰退したが,慶長7年(1602年)に武将だが歌人としても知られる細川幽斎により再興された。
建造物
方丈
細川幽斎により再興された柿皮葺屋根の建物で、内部は長谷川等伯筆の障壁画で飾られている。
障壁画(長谷川等伯筆)(重要文化財)
禅宗祖師図 - 禅の教えを表現した禅機図を等伯晩年の簡略化された筆遣いで描いたもので、等伯独特の人物表現がみられる。
商山四皓図(しょうざんしこうず) - 中国秦末の国難を避けて商山の山中に隠棲した4人の高士が従者を伴い,ロバに乗る姿を描いたもので、大徳寺・真珠庵にも同じ画題の障壁画を描いている。
庭園
方丈前庭(東庭)
白砂の庭を苔に縁取られた菱形の畳石が横切る枯山水で、切石を組み合わせた直線的な構成は小堀遠州の発案である。
書院南庭
杉やカエデが鬱蒼と茂る池泉回遊式庭園で、明治期に改修されているが南北朝時代の姿も残す。
文化財
重要文化財
絹本着色無関普門像 - 南禅寺の開山・無関普門自賛の頂相(肖像画)で、無関の生前に描かれた現存唯一の寿像である。
絹本墨画淡彩聖一国師(円爾)像 - 無関普門の師である円爾(えんに)自賛の像で、円爾自賛像としては最初期のものである。
絹本着色平田慈均像2幅 - 東福寺の道山玄晟(どうざんげんじょう、無関普門の法嗣)の法嗣である平田慈均(へいでんじきん)の頂相(肖像画)で、平田最晩年期の姿が細やかな筆遣いで表わされている。
絹本着色細川幽斎像・幽斎夫人像(重要文化財) - 武将であり文化人として知られる細川幽斎とその夫人の像で、幽斎像には徳川家康の信任を得た以心崇伝の賛がある。
方丈障壁画32面
紙本墨画禅機図 16面(室中)
紙本墨画画商山四皓図 8面(上間)
紙本墨画松鶴図 8面(下間)
その他の文化財
天馬賦(てんばのふ) - 江戸中期の画家・書家として名高い池大雅の書で、力強さの中にもおおらかさが漂い、大雅の書の中でも名作に入る出来映えである。
九条袈裟 - 無関普門所用と伝わる九条袈裟で、宋での滞在中にその師から贈られたものである。
アクセス
京都市営地下鉄東西線蹴上駅下車 徒歩