明月院 (Meigetsu-in Temple)

明月院 (めいげついん)は、神奈川県鎌倉市にある臨済宗建長寺派の寺院。
山号を福源山と称する。
本尊は聖観音、開基(創立者)は上杉憲方、開山(初代住職)は密室守厳(みっしつしゅごん)である。
アジサイの名所として知られ、「アジサイ寺」の通称がある。

起源と歴史

山ノ内上杉家の祖、関東管領上杉憲方は密室守厳を開山として、明月院を開創した。
憲方の没年は応永元年(1394年)で、それ以前の開創である。

なお、寺伝では、平治の乱で没した首藤俊通(しゅどうとしみち)の菩提の為、永暦元年(1160年)、その子の経俊が「明月庵」を建立したのが草創とされ、上杉憲方は中興者とされているが、実際の開基は上杉憲方とみるのが通説である。

明月院は、禅興寺という寺の塔頭(たっちゅう、子院)であったが、本体の禅興寺は明治初年頃に廃絶し、明月院のみが残っている。

禅興寺の起源は鎌倉幕府5代執権北条時頼にまで遡る。
時頼は別邸に持仏堂を造営し、最明寺と名付けたが、時頼の死後は廃絶していた。
時頼の息子の北条時宗は蘭渓道隆(らんけいどうりゅう)を開山としてこれを再興し、禅興寺と改名した。

現在は、「あじさい寺」として有名で、花のシーズンにはたいへんな混雑をみせる。
この寺でアジサイを植えたのはさほど古い事ではなく、「手入れが比較的楽だから」という理由で植えたものが次第に有名になったという。
アジサイの他にも1年中花が絶えず、紅葉でも知られる。

境内

境内には鎌倉十井の1つである「瓶(かめ)の井」、「明月院やぐら」と称される、岩を掘りぬいた墓室(上杉憲方墓とされる宝篋印塔を安置)などがある。
1984年(昭和59年)2月9日、「明月院境内」として国の史跡に指定された。

文化財

木造上杉重房像(重要文化財)

-建長寺の北条時頼像と形式のよく似た肖像彫刻である。
鎌倉国宝館に寄託。

塑造北条時頼像-鎌倉時代には珍しい塑造の肖像彫刻。

交通

JR横須賀線北鎌倉駅下車徒歩10分

江ノ島電鉄「明月院」下車徒歩5分

[English Translation]