松尾大社 (Matsunoo-taisha Shrine)
松尾大社(まつのおたいしゃ)は、京都市西京区にある神社である。
式内社(名神大)、二十二社の一社で、旧社格は官幣大社。
旧称松尾神社。
大山咋神と中津島姫命を祀る。
中津島姫命はイチキシマヒメの別名とされるが、異説もある。
歴史
当社の背後の松尾山 (京都府)(223m)に古社地があり、山頂に近い大杉谷に磐座とされる巨石がある。
5世紀ごろ、渡来人の秦氏が山城国一帯に居住し、松尾山の神(大山咋神)を氏神とした。
大山咋神については、『古事記』に「亦の名は山末之大主神。
此の神は近淡海国の日枝の山に坐し、亦葛野の松尾に坐して、鳴鏑を用つ神ぞ」と記されており、古事記が編纂されたころには有力な神とされていたことがわかる。
大宝 (日本)元年(701年)、勅命により秦忌寸都理(はたのいみきとり)が現在地に社殿を造営し、山頂附近の磐座から神霊を移し、娘を斎女として奉仕させた。
以降、明治初期に神職の世襲が禁止されるまで、秦氏が当社の神職を務めた。
平安京遷都により、皇城鎮護の神として崇敬されるようになり、「賀茂神社の厳神、松尾の猛神」と並び称された。
『延喜式』では名神大社に列し、その後二十二社の一社ともなった。
近代社格制度のもと、明治4年(1871年)に松尾神社として官幣大社に列格し、戦後は別表神社となった。
昭和25年(1950年)に松尾大社に改称した。
秦氏は酒造の技術も日本に伝えたことから、中世以降、松尾神は酒造の神としても信仰されるようになった。
社殿
本社と、摂末社の四大神・衣手・三宮・宗像(市杵島姫命)・櫟谷(いちたに、宗像三女神)・月読神社 (京都市)(ツクヨミ)の各社を併せて松尾七社という。
このうち月読神社と櫟谷神社(現在は宗像社と合祀されて櫟谷宗像神社)は式内社である。
文化財
重要文化財
本殿
屋根は松尾造りと呼ばれる両流造りの構造で、現在のものは応永11年(1397年)の建立である。
木造神像 3躯(男神2、女神1)